少額、短期で高配当が期待できるとソーシャルレンディングに関心を抱く人が増えているようです。
私も質問を頂戴することが増えていますので、今回はソーシャルレンディングについてまとめてみます。
ソーシャルレンディングとは
運営事業会社が投資家から資金を集めて、銀行融資が受けにくい借り手に貸して金利収入を得る投資です。
投資先は、不動産や太陽光発電所、中小事業所、海外マイクロファイナンスなど多岐にわたります。
メリット
ソーシャルレンディングを利用するメリットは短期投資で高利回りが期待できるところでしょう。
しかも、少額から投資可能です。
1年程度で満期を迎える投資案件も多く、事前に利回りが想定できていることも魅力的です。
主な3つのリスクと注意点
ソーシャルレンディングを利用する際のリスクは主に3つ(流動性リスク、デフォルトリスク、運営者リスク)あります。
◎流動性リスクとは
一度投資してしまうと途中で出金や解約ができません。満期となる償還時期が延長されてしまうこともあります。
◎デフォルト(債務不履行)リスクとは
借り手が約束通り利息支払や元本返済をしてくれないリスクです。
運営者が借り手を審査して延滞時に督促したり、破綻した時には資金回収に取り組みますが、
最終的な損失は投資家が負担することになります。
◎運営者リスクとは
運営事業会社が不適切な融資をしたり資金を流用したりするリスクです。
情報公開が義務付けられていなかったこともあり、実際に多くの不祥事が発生し、金融庁も注意喚起をしています。
運営事業会社が破綻すれば投資家の資金回収は難しくなりますので、運営会社の見極めも重要です。
◎注意点
利回りの妥当性を投資家は判断できるのでしょうか。
通常はリスクの大きい案件ほど高い利率が適用されますが、提示されている利率が本当にそのスクに見合っているのでしょうか。
債券の発行体のように格付を取得しているわけではありませんので、
リスクの大きさが把握しにくく、リスクに見合ったリターンが得られているとは限らない点には注意が必要です。
投資信託を利用した資産運用との違い
リスクコントロールを重視する投資信託による運用と異なり、
デフォルトが発生した場合の損失はどんなに時間をかけても取り戻すことができません。
インデックス・ファンドを使って世界中の株式市場に分散投資している場合には、
大きく評価額が下落することはあっても、時間さえかければ評価額は回復し成長していく可能性が高くなります。
実はリスク分散がしにくい
現在のように世界的に景気がそれほど悪くない状況であれば、同時に多くの案件がデフォルトすることはありませんので、
複数の投資案件に分散して利用することでリスクコントロールが可能です。
しかし、世界的に景気が悪化し金融危機が発生すると多くの案件で同時にデフォルトが発生することが予想されます。
まとめ
ソーシャルレンディングは短期で高い利回りが期待できることは魅力的ですが、リスク分散がしにくく、
デフォルトするときは一気に複数の案件でデフォルトする可能性が高いことには留意する必要があります。
また、運営事業者の見極めも重要です。
そして、一度デフォルトが発生すると時間かけても損失は取り戻せないことを考慮すると、
いくら高い利回りが得られたとしても相応にリスクの高い投資だと覚悟しておいた方が良さそうです。
一方で、寄付や社会貢献、社会還元に近いような性質もありますので、
投資収益を得るだけでなく、意志あるお金の使い方をしていきたいと考えている場合には有効な選択肢になります。