株価急落時の対応のポイント

2018年10月は世界的に株式市場が大きく下落しました。
日経平均株価も一時3,000円以上下落しています。そこで今回は株価急落時の対応方法についてまとめたいと思います。

まず、メディアの報道に煽られず冷静に対応することが重要です。
「日経平均大幅続落 1000円安」などと報じられますが、下落率は5%未満だったりします。
5%程度下がることは頻繁にあることだと認識する必要があります。
しかし、今回は株価が1カ月で1割以上下がっていますから、一応「大幅下落」と言っても良いとは思います。
ただし、これも1年に1回くらいは起こるものだと覚悟しておくべきでしょう。

次に対応方法を考えてみたいと思います。

まず、下落理由を確認します。
企業業績の悪化や経済成長率の鈍化など、実体経済が大幅に悪化していることが判明して下落するケースもありますが、
景気が悪くなるとしても徐々にマイナスの材料が増えていき株価水準を切り下げていくことが通常なので、
景気悪化を理由として一気に下落することはそれほどありません。

多くの場合は市場心理の悪化や上昇が続いたことによる調整局面として株価が下落するケースです。
10月の下落もそれまでの上昇ペースが速かったことによる、調整局面だったと私は判断しています。

この場合は、下落が長引く可能性は低く、何かのきっかけで反転する場合も多くあります。つまりは、大きな下落が発生しても慌てて売る必要はないということです。

むしろ、リスクコントロールを重視して投資余力を残していた投資家は、
買い増しを検討することが有効だと考えます。

積立投資の設定を利用したり定期的に買い増しを進めている場合には、
大幅な下落時に投資金額を引き上げて対応することもお勧めしています。

今後も一時的に1割程度の下落は発生するはずです。
いつ、どの程度の大きさの下落になるか事前に予想することは不可能ですが、
その際に慌てることのないように、追加投資の余力を確認し、
現状のアセットアロケーション(資産配分)で想定される最大損失額をもう一度確認しておくことが重要
だと思います。

確定拠出年金の出口戦略(受取のポイント)

今回は確定拠出年金の「出口戦略=受け取り方法」について整理したいと思います。

法律改正により2017年からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象者が拡大し、
加入メリットは以前に比べると知られるようになりました。
一方で、積み立てた資産の受取方法には多くの注意点があります。

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)も企業型確定拠出年金でも基本的に受取に関する考え方は同じため、
今回は確定拠出年金としてまとめて説明します。

確定拠出年金制度は、受取方法の自由度が高いのが特徴です。
受取開始年齢は60~70歳の好きなタイミングを選択できます。
また、受取方法として「年金」と「一時金」を選択できます。
金融機関が対応していれば、年金と一時金の組み合わせも可能です。
年金受取の場合、金融機関にもよりますが、5~20年かけて分割して受け取ることが可能です。
このように様々な受取方法が選択できる確定拠出年金ですが、
どのような形で受け取るのが有利なのでしょうか。
出口戦略を考える際に重要になるのが税金や社会保険料への影響です。

確定拠出年金では積立時の所得控除や運用益の非課税により節税しながら効率的な資産形成が可能ですが、
受取時は基本的には課税されてしまいます。
ただし、「一時金」での受取の場合、退職所得控除が受けられますし、
「年金」受取の場合も公的年金等控除が受けられるため、
実質的には非課税、もしくはきわめて軽い税率となります。

しかしながら、他に退職金などの受け取りがあると、
退職所得控除をフルには受けられない可能性がある点には注意が必要です。
年金受取の場合も公的年金収入や企業年金の受取額と合算し、非課税枠を計算するため、
通常は公的年金だけで非課税枠を超えていることが多く、
確定拠出年金の年金受取分は課税対象となる可能性が高いのが実状です。

また、「年金」受取で雑所得が増えると、所得税や住民税の税率が上がって負担増となるだけでなく、
住民税を元に決定される健康保険料や介護保険料も負担増になってしまいます。

「年金」受取の場合は、金融機関よって振込手数料や口座維持手数料がかかることもあるのでさらに注意が必要です。

したがって、現状では「一時金」受取の方が有利になるケースが多い状況ですが、
今後、税制や金融機関のサービスは変更される可能性もあります。
60歳以降の働き方などライフプランによっても最適な出口戦略(受取方法)が変わってきますので、
税金や金融機関のサービスなどを考慮して総合的な判断が必要になります。

金融商品を利用する際に理解しておくべき3つのポイント

世の中には利用する価値のない金融商品がたくさん売られています。
多くの専門家が否定的な評価をしているにもかかわらず、残念ながら、人気が出てよく売れてしまうことがあります。

そこで今回は、金融商品についてそれほど詳しくない一般の人が商品を選ぶ際に
どのように判断すればいいのか整理したいと思います。

まず大原則として、「分からないものは買わない」ことです。
仕組みを理解できない商品にもかかわらず、「儲かりますよ」と勧められるままに購入して、
期待とは異なる結果になってしまっても営業マンを責められません。

しかし、完璧に理解するまで買えないとなると、何も購入できなくなってしまいます。
それに、「どこが分からないか分からない」という人も多いと思いますので、
最低限、押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

1.コスト
その商品を利用する際に直接・間接に負担する手数料の具体的な金額はいくらか。
そして、その手数料が他の商品と比べて高いのか安いのかも知る必要があります。

2.リスクの所在と大きさ
どのような局面でどれだけの損失が発生する可能性があるのか。
金融危機が発生した場合にどの程度の損失が発生するのか、そうなっても回復する可能性があるのか。
仮に回復するとした場合、どのくらいの時間を要するのかも重要です。

3.流動性
いつでも売却して出金できるか。
解約するのに制約がある場合は、その条件や手数料も把握しておく必要があります。

以上です。
この3つのポイントを理解して金融商品を選ぶと、コストが安くてシンプルな商品に行きつくと思います。

過去の運用実績を重視して商品を選ぶべきとの意見もありますが、
私はどんなに素晴らしい実績があっても、将来の運用成果を約束できるものではありませんし、
経済環境も変化していくため、参考程度にしかならないと考えます。

最後に、営業マンの立場や金融機関の姿勢も理解しておくと間違った判断をする可能性を減らせると思います。

金融商品の営業マンは販売のプロであり、プロのアドバイザーではありません。
心理学を勉強したり、どのようにすれば顧客と優良な関係を築き、
購入してもらえるかという営業スキルを磨くことには熱心ですが、
顧客のお金の悩みを解決するための幅広い情報や金融知識を習得できていない営業マンが多くいます。

商品を企画し設計する金融機関の担当者も同じです。
どうすれば顧客の共感を得やすいか、販売担当者が売りやすいか、という視点で必死に考えています。
どんなに顧客にとって価値のある商品であっても、売れて会社の売上に繋がらないと評価してもらえないからです。

目的別の資産運用がお勧めできない理由

家計管理の手段として資金使途別に必要となるお金を把握しておくことは重要ですが、
資産運用においては目的別に分けて管理することはお勧めできません。

しかし、多くの人は「目的別にお金を貯めたり、増やしたりするのは当然じゃないか」と考えているようです。
「教育資金の準備は学資保険で!」とか「老後資産の準備は個人年金保険で!」といった具合に、
目的別にお金を運用したり、金融商品を購入するように勧める金融機関や営業マンが多いからでしょう。
顧客にとってはその方が分かりやすいし、
営業マンにとっても非常にセールスしやすいために考え出された戦略であり、
その結果、多くの人が「目的別に資産運用すべきだ」という思い込みを持ってしまっています。

しかも、目的別にさまざまな種類の金融商品をあれこれ買ってしまい、
結果、高いコストを負担させられているケースが多くあります。

目的別に資産運用するということは、保有資産を小口に分けて運用するということであり、
効率的な方法ではありません。運用はできるだけまとめてした方が合理的だからです。

それに、目的別に運用するためには、資金ごとに運用期限を区切っていくことになります。
必要な時期に予定どおりの金額をきっちりと確保するためには、価格変動の少ない運用にせざるを得ません。
本来はまとまった資金を適切なリスクを取りながら運用していくことでリターンが獲得できます。
資金が必要なタイミングを考慮しながら、
その時の経済環境に合わせて売却する資産を選択していく方が資金を効率的に活用できます。
つまり、資金が必要になる時期が近づいてくるのに合わせて投資している金額を減らしたり資産配分を調整していくのが理想的です。

そもそも、将来の収入や支出の金額・タイミングを正確に予想することはできません。
ライフプラン通りにいかず、予定外の支出が発生する可能性もありますし、
想定していた以上の収入が得られるようになるかもしれません。
だとすれば、目的を決めた貯め方をしたり、金融商品を買ったりしても意味がありません。
すぐに使わない資金をまとめて運用しながら、経済環境やライフプランの変化を考慮して
全体の資産を管理していくことが無駄の無い合理的な運用方法となります

海外で運用する注意点

海外金融機関の金融サービスや投資商品に魅力を感じる人も多いように思います。
何か特別な方法で国内商品より高いリターンが得られるかのような印象があるからでしょうか。

私のところにも海外の業者から業務提携の申し出があり、お客様の紹介を依頼されることがあります。
国内にも海外のヘッジファンドや保険商品を紹介して、多額の紹介料を受け取っているアドバイザーがいますので、
勧誘を受けたことがある人もいるかもしれません。

しかし、たいしたリターンも得られず、資金を引き揚げるために大変な苦労をしている事例も多く聞いています。

そこで、今回は海外で運用する注意点について整理したいと思います。

「海外で運用する」とは、海外の現地金融機関に口座を開設したり、現地の金融商品を利用するケースです。
国内の金融機関を通して海外資産に投資することは、資産運用において不可欠ですし何も問題はありません。

高いリターンが得られる特別なノウハウがあるわけではない

「実績として毎年10%以上のリターンをあげている」というような商品を紹介されることもありますが、
たまたま運用環境がよく10%になることはあっても、
将来にわたって同じパフォーマンスが期待できるわけではありません。
海外の運用会社だから、なにか特別のノウハウや商品があるのだろうというのは誤解です。
高いリターンが期待できるのは、リスクがそれだけ高いのです。
リスクを小さく見せかけているだけかもしれません。
どの国にいても、資産運用における投資手法や投資対象は、変わるものではありません。
当然ながら日本国内でも世界標準の資産運用ができるのです。
(しかし、残念なことに日本の大手金融機関のアドバイザーはそういった方法を教えてくれません)

節税にもなりません

ケイマン諸島やシンガポールなどで運用すれば、税金がかからないというようなイメージもありますが、それも誤解です。
現地で税金がかからなくても、日本人であれば、日本の税制が適用され、本来は国内で申告する必要があります。
これまではバレていないケースもあるようですが、
海外の税務当局との情報交換する仕組みが出来ていますし、今後はそうはいかないでしょう。

コストも高い

日本人向けのサービスや商品だからかもしれませんが、コストもそれなりに負担させられます。
積極的に売り込んでくる商品やサービスは売り手側が儲かるものであると考えておいた方がいいでしょう。

管理が大変

最初は日本語でサポートが受けられたとしても、いつまでも対応してくれるかわかりません。
トラブルが発生すると、英語で直接やりとりする覚悟が必要です。
現地との連絡が取りにくかったり、現地に行かないと手続きができないケースもあります。
そうすると、さらに余計なコストと手間がかかります。
もし本人が亡くなったりすると、残された家族が困ります。
日本に資産を戻す手続きを専門家に依頼することもできますが、かなりの費用を負担することになります。

海外の金融機関で取引していることでステータスを感じる人もいるかもしれませんが、
必ずしも素晴らしい運用成果が得られるわけではありません。
国内の金融機関を通じてシンプルに国際分散投資を実践することが、
様々なリスクを避けながら資産運用で成功する方法だと考えます。

NISAの出口戦略

制度がスタートした2014年からNISA(少額投資非課税制度)を利用している場合、
非課税期間が今年末で満了します。

制度を効率的に活用するには、2018年末までに手続きが必要になるケースがあるため、
どのような選択肢があるのか、まとめておきたいと思います。

NISA口座で運用する株式や投資信託の売却益や配当金は、
通常約20%かかる税金が5年間、非課税になります。
年間の投資上限額は2014年の制度導入時は100万円でしたが、2016年に120万円に拡大しました。

2014年にNISA口座で買い付けた株式や投資信託の非課税期間が、今年末初めて満了を迎えるわけですが、
非課税期間終了後、NISA口座の資産をどうするのかについては複数の選択肢があります。
好きなタイミングで事前に売却して非課税による恩恵を確保したり、
期間満了時に特定口座など課税口座へ移管して継続保有するほか、
ロールオーバーという仕組みを選択して、引き続きNISA口座で運用を継続することもできます。

ロールオーバーすると、2019年分のNISA口座に2014年に投資した資産を移すことになります。
非課税期間をさらに5年間延長できるため、実質的に2014年から2023年までの10年間、非課税で運用が可能です。

ただし、ロールオーバーをするには以下の条件を満たしていることが必要です。
条件1:同一金融機関の「一般NISA」口座への移管であること
条件2:NISA口座を開設している金融機関で、期限までに所定の手続きをすること

現在、NISAの非課税枠は上限120万円ですが、
2014年に投資した資産が120万円を超えていても全額移管できます。
ただし、2019年の非課税投資枠を使うことになるので、2019年に新たに投資することは出来なくなってしまいます。
一方で2014年に購入した資産が80万円に値下がりしていたら、
残り40万円を上限に株式や投資信託を追加で購入可能です。

ロールオーバーするには注意点もあります。
今年から始まった「つみたてNISA」を利用している場合、2019年は利用を中断し、
「一般NISA」に切り替える必要があります。
2つのNISAは同じ年に併用できず、年ごとにどちらかを選択する必要があるからです。
また、2014年以降にNISA口座を利用する金融機関を変更している場合にも必要な手続きがあります。

継続的にNISA口座を利用している場合には、これからは毎年、課税口座へ移管するのか、
ロールオーバーして非課税運用を継続するのか、判断することになります。
投資家によってNISAの使い方が大きく異なるため、保有している商品やその時点の損益状況、
年末に向けた相場展開を総合的に勘案して個々に判断する必要があります。

そもそも、ロールオーバーの手続きの詳細について、金融機関はまだ明らかにしていません。
10月頃に公表されると言われていますので、いずれにしてもその頃に判断をすることになりそうです。

投資信託のよくある誤解

金融庁が個人投資家と意見交換会を定期的に開催しています。
その中で、「投信あるある」をテーマに取り上げて、投資信託に関するよくある誤解を解説したそうです。

以下のQUICKの記事に詳細が載っていますが、
今回はその中から3つ取り上げて、私なりの解説をしてみたいと思います。
http://mail.omc9.com/l/01XqS2/8sr7gg7j/

(念のため、お伝えしておきますが、以下に取り上げたものは全て誤解です)

1.「販売額ランキング上位のファンドは、みんなが買っているので良い商品なのでしょう」
よく売れている商品が良い商品とは限りません。

むしろ、大手金融機関の販売ランキング上位の商品は手数料が高く効率的な資産運用には適さない商品ばかりです。

家電製品のランキングなど消費者が商品やサービスの質を判断できるものを対象としたランキングであれば、
「よく売れている商品=良い商品」となる傾向にあり参考になりますが、投資信託の場合はそうなりません。
投資信託の質をきちんと判断できる一般の利用者はほとんどいないからです。
よく売れている商品のランキングは金融機関が売りたい商品・売りやすい商品を売った結果だと心得ておくべきです。

2.「投信の基準価額は資金流入額が多いほど、多くの人が買うので上がるはず」
多くの人が買っても基準価額は上がりません。

これは投資信託初心者には本当によくある勘違いです。
株式のように発行されている株式数が短期間で変わらない投資対象であれば、需要と供給によって価格が決まります。
買いたい人が多ければ株価は上昇します。
投資信託の場合は投資対象となっている株式や債券の評価額が上がらない限り基準価額は上がりません。

資金の流入が多くなればなるほど上がるのは、純資産額です。
純資産額が急増すると、逆に基準価額は上がりにくくなる可能性もあるので注意が必要です。

実際に最近人気が急騰しているある投資信託については、これまでのような運用を継続することが困難な状況に直面しているものもあります。

3.「インデックス・ファンドは基準価額が高いほうが優秀」
基準価額の水準と投資信託の優劣は関係ありません。

たとえば、国内株式の代表的な指数であるトピックス(TOPIX)との連動を目指すインデックス・ファンドでも9,500円程度のものから26,000円を超えるものまであります。
アクティブ・ファンドでも基準価額が3万円台となっている商品に対して割高なのではと感じて投資を躊躇する方も多くいますが、
単に運用を開始した時期と分配方針の違いで価格に違いが生じるだけです。
基準価額の水準は投資信託選びの判断材料になりません。

※ 拙著『銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術』でも、第4章で資産運用の誤解と改善策についてまとめています。
http://mail.omc9.com/l/01XqS2/1vlIehxY/

 

税務当局は個人の全財産を把握できるのか

平成30年度税制改正関連法が3月28日に成立しました。
高所得者にとっては増税となる改正が目立ちます。
そして、日本政府の財政状況を考えるとこの流れは今後も続いていくものと考えられます。

そこで、今回は個人の財産状況を税務署がどこまで把握できるのか整理をしてみたいと思います。

証券会社からマイナンバーの提出を求められた経験のある人も多いと思いますが、
2018年1月からは銀行でもマイナンバーを預貯金口座とひも付ける「付番」が任意で始まっています。
3年間の状況をみて義務化が議論になるそうですが、専門家の間では義務化が既定路線のようです。
将来的に金融機関によるマイナンバー収集が完了すると、税務署に全ての金融取引を把握されることになります。

かつては、所得2000万円超の人は確定申告の際に『財産及び債務の明細書』を提出する必要がありましたが、
未提出でも罰則規定がなく税務署から督促があっても対応しないでそのままになっているケースが多かったようです。
しかし、この『財産及び債務の明細書』は、現在『財産債務調書』と名前を変えて
未提出者に対する罰則規定もあり厳格に適用されています。
対象者は所得2000万円超で「3億円以上の財産がある」か「株式や投資信託を1億円以上保有している」人です。
これにより、資産家に対する税務当局の財産把握はかなり進んできています。

そして、税務当局が最近注力しているのは、国外財産の把握です。
海外の不動産や金融商品への投資を勧める業者も増えているので、私も相談を受けることが非常に増えています。
違法業者も多く、メリット以上にデメリットやリスクが多い案件ばかりなので、
基本的にはやめておくようにアドバイスすることが多いですが、世間一般では利用する人が増えています。
2014年からは国外に5000万円超の財産を持つ場合、
資産内容を記す『国外財産調書』の提出が義務付けられていますが、こちらも未提出の人が多いと言われています。

国際的には税務情報を共有する仕組み「CRS(共通報告基準)」もあります。
各国・地域の税務当局が金融機関から口座情報の報告を受け、自動的に情報を交換するもので、
租税回避地を含む100以上の国・地域が参加していて、日本も2018年9月末までに、この枠組みに加わる予定です。

つまり、近い将来国内資産も海外資産も全て税務署に把握される時代が到来しそうです。
法人の活用や不動産など実物資産への投資により合法的に税金負担を抑制する方法もないわけではありませんが、
抜本的な対応策は存在しません。

対策があるとすれば、税金を払っても資産規模を維持できるように資産を増やしておくことでしょうか。
もちろん、過大にリスクを取って財産を減らしてしまっては意味がありませんので、
リスクをコントロールしながら無理のない範囲で効率的な資産運用に取り組む必要はあります。

個人的には諦めて税金を払う覚悟をした方が良いように思います。

長期投資の有効性

前回のブログでは、分散投資の効果と重要性についてまとめました。
今回は資産運用において、「分散投資」と並んで重要になる「長期投資」についてまとめてみたいと思います。

2月以降、株式市場は変動の大きい相場展開が続いています。
日本も米国も2018年に入ってからの直近高値に対して1割以上下落する場面がありました。
このような短期的な市場変動を利用して金融機関の営業マンは様々な売買提案を行います。
私も銀行員として働いていた時代はこのような市場変動をキッカケに使って営業活動をしていました。
しかし、値動きに乗じてタイミング良く売買を行うことは投資のプロでも難しいことです。
私自身もそういった取引にチャレンジして上手くいったこともありますが、
失敗して損をしたこともたくさんあります。

このような自分自身の投資経験だけでなく、大手金融機関で取引する1000人以上の個人投資家が
相場変動時にどのような行動に出るかを見てきた経験から、
短期的な変動のタイミングを上手く掴んで取引を続けることは不可能に近いと悟りました。
人間はどうしても感情に流されてしまい、合理的な判断ができない生き物だというのも1つの要因です。

つまり、どんなに時間と労力をかけても、的確なタイミングで投資判断ができる可能性は低く、
運用成績も結局は相場全体の動き次第であるということです。
多くの場合、株式市場が上昇していかないことにはリターンを確保できません。

短期的な株価の変動を予想することは不可能ですが、
一方で長期的な株価の変動はきちんとした原理原則があって動いていると私は考えています。
特定の会社の株価も短期的にはランダムに動きますが、長期的にはその会社の企業価値に集約していきます。
企業が利益をあげて成長していく限り株価も上昇していきます。
したがって、価値が継続的に増大していく対象に時間をかけて投資を続けることで
確実にお金を増やすことができます
逆に言うと、成長するものに投資しないと長期で投資していても報われません。

したがって、成長する資産を見つけることが大事なわけですが、
多くの人にとって何(どこの地域、どの会社)が成長するのか選別することは困難です。
そのため、世界経済全体に投資することによって地球規模での経済成長の恩恵を
取り込んで自分のお金を増やしていく方法をお勧めしています。

世界経済の中心的な役割を担う米国の株式市場について、
以下のコラムに「S&P500株価指数」という米国の代表的500銘柄の株価を集計した指数の過去の推移が掲載されています。
長期的に成長を続け1年あたり9%超のリターンとなっていることが確認できます。
http://mail.omc9.com/l/01XqS2/uiNTiYLj/

短期的には上下を繰り返し、リーマン・ショック時には大きく暴落していますが、長期的には右肩上がりです。
米国の実体経済が成長を続けていることで、短期的な上下の値動きを経て米国株式市場は史上最高値を更新しています。
このような長期的に成長していく市場に時間をかけて投資することで確実にリターンが得られるのです

なお、上記の竹中正治氏のコラムは株価下落に対するリスクヘッジや為替リスクのコントロールの重要性についても説明しています。
私がいつも相談者にお伝えしていることを、データも使って解説してありますので、興味ある方は是非ご一読ください。

分散投資の意義

資産運用において分散投資が重要とよく言われますが、
リーマン・ショックのような金融危機が発生すると、
世界中のあらゆる資産が値下がりして「資産を分散しても意味がなかった」といわれたものです。
今月発生した株価急落局面でも同様でした。
しかし、その後の回復局面まで考えると、実はしっかりとした分散投資の効果があります。

つまり、短期的に見ると分散効果が発揮されない局面もありますが、
中長期的に考えると世界中の投資マネーが次の投資対象を探して移動していきますので、
投資対象を幅広く分散しておくことで、必ず分散効果が得られるものと考えられます。

そもそも、「分散投資」の効果とは、
値動きの異なる投資対象を組み合わせることで、全体のリスクを下げることができる効果のことですが、
上がるものと下がるもので値動きが相殺されることによって全体の価格変動が抑えられるということだけではありません。
たとえば、期待リターンが3%の投資対象Aと期待リターンが4%の投資対象Bと期待リターンが5%の投資対象Cがあったとします。
これらA,B,Cを均等に組み合わせて投資すると、期待リターンは平均の4%になります。
一方で、リスクはA,B,Cそれぞれの持つリスクの大きさを平均したものより”必ず”小さくなるのです。

組み合わせることで、リターンは平均を維持したままリスクだけ下げられるという投資家にとっては都合の良いことが実現できるのが、分散投資の最大のメリットです。

どの程度リスクが低減できるかは、
相関係数という別の指標によって変わってきますし、時代によっても大きく異なります。
確かに、現在のように世界的な低金利局面では分散投資効果が小さくなっているのも事実ではあります。
それでも、ギャンブルのような投資ではなく、リスクをコントロールしながら効率的な資産運用に取り組むためには、分散投資は欠くことができません。