資産運用における為替ヘッジについて

長期的な資産運用に取り組むためには国内資産だけでなく、
海外資産にも分散投資を行う必要があります。
国内資産だけよりも海外の株式や債券に投資する方が高いリターンも期待できます。

国内の株式市場が為替の影響を受けやすいこともあって、
日本人の資産運用は為替相場によって運用結果が大きく変わってきます。
そのため、安定的な資産運用を実現するためには為替リスクのコントロールが重要になると考えています。

そこで、今回は為替リスクを低減する「為替ヘッジ」についてその効果や使い方についてまとめていきます。

資産運用の専門家の中には「多くの日本人は給料も日本円でもらい、
保有している不動産や貯金も円資産だし、将来の年金も日本円でもらうことになるのだから、
資産運用は海外資産でやればいい。為替リスクなんて気にせず、海外資産中心の資産運用がよい」
と言う人もいます。

確かに、この考え方には一理あります。
将来受け取る予定の給料、年金資産、すぐに運用に回さない預金を含めた個人資産全体のバランスを考慮して、
投資に回すお金は為替リスクのある資産を中心に行うという判断であればよいのです。

しかし、円高が進行して運用資産の評価額が下落してしまった時に、
「運用資産の評価は下落してしまったけど、自分の保有する円資産の実質的な価値が上がって良かった」
と考えられる人はほとんどいません。

実際には投資した資産の評価額の増減だけで判断してしまうのです。
だからこそ、まとまった資産を運用していく場合には為替のリスクを意識して
コントロールしておくことが重要
になります。

為替リスクを抑える方法はいくつかありますが、
もっとも簡単なのは為替ヘッジ付きの投資信託を利用することです。

為替ヘッジ付きとは、
将来為替相場がいくらになっていても「1ドル=〇〇円」で交換しますという為替予約の仕組みを利用して、
為替相場が大きく変動してもその影響を受けないようにしています。
円高によって評価額が下落するのを避けられますが、
円安が進んでも、本来海外資産に投資することで得られるメリットは受けられません。

そして、為替ヘッジ付きの投資信託はリスクを抑えられる代わりにヘッジコストがかかります。
具体的には国内金利と海外金利の差に相当するコストを間接的に負担することになります。
資産運用においてコストを抑えておくことは非常に重要ですが、
為替ヘッジのためのコストは負担するだけの十分なメリットがあります。

ただし、運用資産の中で、為替リスクのヘッジをどの程度しておくべきかは、
年齢や投資金額、運用方法によっても変わってきます

シニア世代が退職金などまとまった額を運用する場合には、
一定程度為替ヘッジ付きの商品を利用するのが妥当でしょう。
ひとたび円高が進んだら円安に戻るのを待つ時間的な余裕がないかもしれません。

一方で、これから資産を形成していこうと考える若年層は為替ヘッジの必要性は低いでしょう。
積立投資であれば円高進行時には多めの口数を買えて長期的に有利になる可能性があります。

他にも、十分な円預金を確保していて個人資産の中のごく一部の資金で投資していこうと考えている場合も
為替ヘッジ付きの商品を使う必要性は低いかもしれません。

最終的には、その時点の為替水準によっても為替ヘッジの意義も変わりますが、
リスクを抑えた安定的な資産運用を目指すのであれば、自身のポートフォリオのなかで、
為替相場の影響を受ける資産の割合を意識的にチェックして、
為替リスクを取り過ぎない方がよい
のではないでしょうか。

長期的な株式投資が報われる理由

最近の株式市場は上昇基調にあり、3月の急落前の水準に近づきつつあります。
経済指標の悪化を報じるニュースにも反応せず、
上昇を続けていることにかえって不安を感じることもあるくらいです。

運用経験がまだそれほど長くない方の中には
このまま資産運用を続けて大丈夫なのだろうかと悩んでいる人もいます。
そこで、今回は長期的な株式投資が報われてリターンが得られる理由について整理していきます。

株価の変動を利用して短期的な売買を繰り返す投資家も多くいますが、
値動きに乗じてタイミング良く売買を行うことは投資のプロでも難しいことです。

たまたま上手くいくことはあっても、
短期的な変動のタイミングを上手く掴んで取引を続けることは不可能です。
一方で長期的な株価の変動はきちんとした原理原則があって動いています。

特定の会社の株価も短期的にはランダムに動きますが、
長期的にはその会社の企業価値に集約していきます。
企業が利益をあげて成長していく限り株価も上昇していきます。
つまり、継続的に価値が増大していく対象に時間をかけて投資を続けることで確実にお金を増やすことができます
逆に言うと、成長するものに投資しないと長期で投資を継続していても報われません。

成長する資産を見つけることが大事なわけですが、
多くの人にとって何(どこの地域、どの会社)が成長するのか選別することは困難です。
そのため、投資信託を通じて世界経済全体に分散投資することによって地球規模での経済成長の恩恵を
取り込んで自分のお金を増やしていく運用方法が効率的
です。

これからの数年間もリーマンショック後のように世界経済全体の成長が減速するかもしれません。
しかし、長期的に見れば世界の経済はゆっくりと成長していきます。
世界の人口は増えていますし、発展途上国や新興国の人々の生活も徐々によくなっています。

今後も世界的にインフラ投資が起こり、そしてイノベーションにより新たな商品やサービスが生み出されていきます。
一時的に経済成長が減速することはあっても、
それが長期に続き成長しなくなるということは考えにくいのです。

また、資本主義経済は人類の欲望がある限り発展していく経済システムだと考えることもできます。
もっとよい暮らしをしたいという生活者の欲望や、もっと稼ぎたいという資本家の欲望が、
新たなモノやサービスを創り出して世界の富を拡大させていく原動力になります。

そして、その欲望に基づいて成長し、価値を創造し続ける仕組みが「株式」です。
多くの株式会社は常に成長を求めて努力を続けています。
もちろん、個別に見ればそれが実現できない会社もありますが、
世界中の企業全体としては成長が続いていくはずです。
だからこそ、投資信託を通じて世界経済全体に分散投資をして長期的に継続していく必要があります。

最後に、もう1つだけ。
資産を増やすために重要なポイントとしてコストが挙げられます。
いくら世界経済が成長を続けたとしても、大手金融機関が提案するようなコストの高い商品やサービスを
利用していると得られるはずのリターンも手元には残りませんので注意が必要です。

株価暴落時に絶対やってはいけないこと

長期的な視点で国際分散投資による資産運用に取り組んでいる投資家であっても不安になり、
売却することを検討したり、金融機関の営業担当者が一旦売却しておくことを提案することも増えているようです。

しかしながら、「運用資産を売却して運用をやめてしまうこと」は
今回のような暴落局面で絶対やってはいけないことだと考えます。
積立投資による資産形成に取り組む人が「積み立てをやめてしまうこと」も同様に絶対避けるべきです。

今回は株価が暴落していてもなぜ資産運用をやめてはいけないのかまとめてみます。

過去にも○○ショックと言われる株価が急落する局面は何度もありました。
オイルショック、バブル崩壊、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマン・ショックなどです。
いずれも1,2年かけて3割から4割下落しています。
リーマン・ショック時は50%近く下落し、元の水準まで戻るのに5年近くかかりました。
ここで重要なことは、多少の時間がかかっても元の水準を回復しその後さらに成長し続けたという事実です。
長期的には回復すると頭では分かっていても、人間の心は弱いものです。
その怖さに耐えられずに売却して運用をやめてしまう人が多くいます。

そして、資産運用においてリターンを獲得するためには『市場に居続けること』が大切です。

バンガード社のレポート『終わりのない弱気相場はない』
https://mail.omc9.com/l/01XqS2/qEviey6B/
にも以下のような分析があります。
「2000年から2018年にかけて、米国株式(S&P500)は年率4.86%のリターンを実現していたが、
同期間中で最もリターンの高かった10日間を除くと、わずか年率1.10%のリターンだった。」
逆に言えば、その10日間だけ市場に居れば(投資をしていれば)
ごく短期間に莫大な利益を得ることができることになります。
しかし、それがいつなのかは事前には絶対にわかりません。
だからこそ、ずっと持ち続ける(市場に居続ける)ことがとても重要になります。

一方で、こういった場面でも売却しなくてはならない状況があるとすると、
今後5年以内に必要となる資金まで投資してしまっている場合くらいだと思います。
時間をかければ回復する可能性が高く本当は売らない方が良いのにも関わらず、
売却しなくてはいけなくなるのは最も避けたい事態です。
そのためにも、資産運用に取り組む際にはライフプランを整理して個人の将来キャッシュフローを
しっかり把握することで投資可能な資産を明確にしておくことが重要になります。

株価急落局面における資産運用のポイント

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、世界中の株式市場が大きく下落しています。
そこで、今回は「〇〇ショック」と呼ばれる株価急落局面への対応法について整理していきます。

まず、現状を正しく把握する必要があります。
メディアの報道には、バイアスがかかりがちで、どうしても過剰に見せたがる傾向があります
例えば、株価の急落を「NYダウ1400ドル急落、過去最大の下落」と報じます。
あたかも史上最悪かのような印象を与えますが、下落率は5%程度ということもあります。
下落レベルは実数字ではなく、比率(%)で測るべきです。
下落の金額が大きくなるのは、これまで上昇してきたからで、
同じ比率(%)でも水準が高くなれば、数字での変動幅が大きくなるのは当然です。
もちろん5%の下落も大きな下落ではありますが、
年に何度か発生する下落率であり過度に恐れる必要はありません。

一方で、1ヶ月で2割以上下落する局面は年に何回もあるわけではありません。
今後の新型コロナウイルスの広がりや経済への影響について容易に判断できませんが、
短期的には企業業績が悪化し景気が悪くなることは間違いなさそうです。

しかしながら、相場の先行きを予想して運用方針を変える必要はないと考えています。
短期的なリターンを追求して売買を繰り返すような投資スタイルであれば、
色々と対応しなくてはいけない局面だと思いますが、
分散投資を徹底しながらリスク管理をしっかり行い資産価値の上昇から
長期的なリターンを追求していくスタイルであれば、やることは変わりません。
最長で5年くらいは相場が回復せずマイナスが続いても問題ないように投資額を増やし過ぎず
手元資金を確保できていれば、当初の投資方針に沿って運用を継続するだけです。

こういった急落局面で絶対にやってはいけないことがあります。
それは、評価額の下落に怖くなり運用をやめようと売却してしまうことです。
「当面回復は期待できないし、まだまだ下がるだろうから一旦売却しておいて、
安くなったところで買い戻そう」と考える人もいるかもしれませんが、それもお勧めできません。
多くの人は買い戻すタイミングを逃してしまい、市場回復局面でのリターンを得られないだけでなく、
何もせずに保有し続けた場合よりも少ないリターンしか得られません。

そして、積立投資により資産形成に取り組んでいる場合には
積立を停止してしまうことも絶対に避けておきたいことです。

リスクをコントロールしながら長期的に成長が期待できる資産へ投資しているのであれば、
何も変える必要はないということです。
コロナ問題もいずれ収束するのは明らかです。短期的には景気が後退しても、
世界全体でみれば成長は続き、株価はいずれ回復すると考えられます。

逆に、こういった急落局面でやっておいた方がいいこともあります。
株価下落に備えて余力を残して取り組んでいた場合には、追加投資を検討しましょう
積立によって定期的に運用資産を積み増している場合には
積立金額を増額することを検討しても良いかもしれません。
ただし、2割程度の下落は数年に1回程度は起こることなので、
一気に増やし過ぎないことがポイントです。
数年の運用経験しかない人は一気に追加投資したくなるようですが、
2割程度の下落は絶好の投資チャンスというわけではありません。

さらに、下落率が大きくなり直近の高値から3割、4割と下落が大きくなっても
更に追加投資できる余力を残しておくことが大切です。
4割程度の下落までくれば、思い切って投資額を増やしてもいいかもしれませんが、
そこまでくるとビビッてしまって決断できなくなる人が多いように思います。

市場環境が好調な時は誰でもリターンが得られますが、
現在のような調整局面での対応によってその後の投資成果は大きく変わってきます。
過度に恐れることなく、冷静に淡々と資産運用に取り組むことをお勧めしています

資産運用の終わらせ方(出口戦略)

資産運用は「始めることよりも終わらせることの方が難しい」といわれます。
自分の老後に備えて投資信託などを買い続けてきたものの、
資産の売却についてはタイミングや方法がよくわからないという相談を受けることが多くあります。
そこで、今回は資産運用の終わらせ方(出口戦略)について整理していきます。

投資スタイルによっても資産運用の終わらせ方は大きく異なります。
長期的な価値の上昇が期待できずに、どこかで全て売却し清算した方がよい投資対象も多くあります。
一方で、私がお勧めしている
「長期的に価値が増えていく資産に時間をかけて投資していくスタイル(長期の国際分散投資)」であれば、
資金を使う時期が近づくまでずっと運用を続けていくことでも問題ありません。
ご自身で使いきれない場合には運用したまま次世代へ引き継げば良いのです。

では、老後に使う予定の資産を運用している場合はいつ売却したら良いのでしょうか。
できるだけ高い時期に売りたいと考えるのは当然のことですが、
株価下落後の最安値で投資することが難しいのと同様に、
ベストなタイミングを見極めることは不可能です。
もう少し上昇するだろうと期待して待っている間に反落してしまうことや、
もうそろそろピークではないかと売却してしまうと更に上昇が続いてしまい後悔するということはよくあります。

そこで大事になってくるのが「売却の時間分散」です。
投信積立サービスなどを利用して定期的に運用資産を積み上げていくのと同じように、
時間をかけてタイミングをずらしながら売却していきます。
ただし、そのためには将来の家計キャッシュフローを把握して
「いつ」「どのくらい」の資金が必要になるか整理しておくことが不可欠です。
想定外の事態の発生などに備える一定の流動性資金を確保しながら、
資金が必要となる時期に合わせて、運用資産を少しずつ解約していくということです。

具体的には、資金が必要になる5年くらい前から徐々に売却を始めるのがよいと考えます。
これは大きな金融危機が発生してしまうと回復するまでに5年くらいかかってしまうこともあるからです。
解約するタイミングは、半年に1度や1年に1度の頻度でも問題ありませんし、
毎月少しずつということでも構いません。

時間分散しながら売却を進める方法は3つあります
1.定量売却
2.定額売却
3.定率売却
「1.定量売却」は毎回同じ口数を定期的に売却します。
全てを売り切る時期を事前に確定できますが、毎回の売却金額は相場状況によって変動します。
「2.定額売却」は毎回、同じ金額が手元に入る点はわかりやすいですが、
相場変動によって売り切るまでの期間は伸び縮みします。
「3.定率売却」は資産残高の一定割合を定期的に取り崩していく方法です。
売却金額が徐々に減っていきます。

時間分散しながらの売却以外にも、配当金などを定期的に受け取りながら運用を継続する方法もあります。
現在の市場環境でもETF(上場投資信託)を活用することで3%前後の配当を定期的に受け取っていくことも可能です。

金融機関も定期売却など資産活用に関するサービス拡充には力を入れているようですが、
引き出すペース(期間)や金額、引き出した資金の利用目的によっても最適な方法は変わってきます
公的年金や企業年金、個人年金保険などの受取時期や金額を考慮しながら、
積み上げてきた運用資産をいかに活用していくか、資産運用の終わらせ方(出口戦略)を早めに計画し
効率的な資産管理に取り組むことで、トータルで活用できる資金の金額も増やしていけると考えています。

2020年の投資に対する考え方

2019年は年末にかけて国内外の株式市場が大きく上昇し、
海外株式市場は史上最高値を更新する水準にありました。
多くの株式市場が大幅下落する中で新年を迎えた1年前とは大きく異なる状況です。

弊社のお客様も投資した時期やリスクの取り方によってリターンの程度に差はありますが、
海外株式を中心に投資しているので、全員が運用資産の評価額を増やすことができた1年でした。
短期的な価格変動を受け入れ、将来的に成長していく可能性の高い資産へ投資しているのですから、
お金が増えるのはある意味当然の結果とも言えます。

2020年も引き続き日米欧の中央銀行は緩和基調の金融政策を続ける見通しです。
世界経済に明るい兆しもありますが、中東情勢の悪化は原油高や為替リスクの上昇の可能性を高め
株式市場にとって大きな波乱要因となりそうです。
今年は米国大統領選挙も控え、引き続き米中貿易協議の進展をにらんだ市場展開になると考えています。

しかしながら、いつもお伝えしているように、
相場の先行きを予想して運用方針を大きく変える必要はありません。
株価上昇による運用評価額の増加にも浮かれず、
心を落ち着けて当初の資産運用方針に沿って淡々と投資を続けていくことが重要です。

そして、市場環境のよい時ほどリスク許容度や全体の資金計画を確認しておくことをお勧めしています。
具体的には、以下の3つがポイントになります。

1.現在の投資総額から想定される最大損失額はいくらか、精神的に許容できる範囲内か。
2.ライフプランやキャッシュフロー計画に沿って、今後数年間に必要となる資金が確保できているか。
3.株式市場が大幅下落した時には追加投資できる余力が残っているか。

市場環境が悪化し株式市場の下落が続くと、投資計画の修正がしづらくなります。
株式市場が高値を更新するような時ほど冷静にリスクを取り過ぎていないか確認し、
取り過ぎているのであれば、運用資産を一部売却しておくなどの対応をしておく必要があります。

もし市場環境が変わっても基本スタンスを変える必要はありません。
分散投資を徹底しながらリスク管理をしっかり行うことで、どのような環境にも対応できると考えています。

市場環境が好調な時は誰でもリターンが得られますが、
調整局面での対応によってその後の投資成果は大きく変わってきます。
今年はより一層リスクコントロールの重要性が高まる1年になるかもしれません。

リバランスの方法と頻度

前回のブログでは、リバランスの必要性について書きました。

リバランスを定期的に実行するとリスクを一定にコントロールすることができて、
パフォーマンスの改善にもつながるとお伝えしました。

そこで、今回は具体的なリバランスの方法やどのくらいの頻度で実施したら良いのかまとめていきます。

  • リバランスの方法とは

リバランスの方法は大きく分けて3パターンあります。
方法1.値上がりした資産の売却(利益確定)+値下がりした資産の追加購入
方法2.追加資金により値下がりした資産の追加購入
方法3.値上がりした資産の売却(利益確定)

投資額をそれ以上増やしたくない場合は<方法1>、
手元に余裕資金があり、投資余力を残している場合<方法2>、
運用資産を取り崩しながら使っていきたい場合は<方法3>になるでしょう。
他にも売買に伴う手数料や税金の影響も考慮する必要があります。
最もシンプルで管理しやすく効率的なのは
<方法2>の追加購入のみによってリバランスをしていくことだと考えていますが、
どの方法も厳密に実行する必要はなく、状況に応じて組み合わせながら実行することで問題ありません。

  • どの位の頻度でリバランスをすべきか

リバランスを実施するタイミングについては2つの考え方があります。

1つ目は、年1回など一定期間ごとにリバランスします。
あらかじめ決めておいた時期に、運用状況に関わらず実行するため、感情に左右されず機械的な見直しが可能となります。

2つ目の考え方は、運用状況に応じて適宜リバランスをします。
例えば、「当初の配分比率から1割以上ズレが生じたらリバランスをする」などといった
基準を決めておき実行する方法です。
この方法では市場環境の変化に応じて迅速な調整が可能となります。

私は2つの方法を組み合わせて、
「1年に1回は定期的に実行し、それ以外にも2割以上のズレが生じたらその場合も実行する」
ということを基本的にはお勧めしています。

しかしながら、リバランスの頻度や方法にも絶対的な正解はありません。
資産運用は無理なく継続して行うことが極めて重要なので、
厳密に資産配分比率を維持することに拘りすぎない方が良いと考えます。

前回もお伝えしましたが、リバランスより大切なことは
ライフプランやキャッシュフロー(家計収支)の変化に応じたリアロケーション(資産配分比率の見直し)です。
5年に一度くらいは、金融資産全体に占める投資資産の比率は適切なのか、
運用資産の配分は効率的なのか確認することをお勧めしています。

リバランスの必要性

長期間にわたって資産運用を継続していくためには「リバランス」が必要と言われています。
そこで、今回はリバランスの必要性やどのくらい厳密に実行するべきなのかまとめていきます。

リバランスとは
株式やETF、投資信託の価格は日々変動しますので、時間の経過に伴う相場変動により、
資産運用を始めた当初に組んだ資産配分比率からズレが生じてきます。
このズレを解消するために、比率の高くなった資産を一部売却したり、比率の低下した資産を買い足したりすることで、
資産配分比率を元の配分に調整することをリバランスといいます。

なぜリバランスが必要なのか
リバランスが必要な理由は主に2つあります。
1つ目の理由は、リスクをコントロールするためです。
リスクを低減し安定的な資産運用に取り組むためには、
株式や債券などの異なる値動きをする資産に分散投資することが重要です。
しかしながら、最初にしっかりと資産配分を決めてポートフォリオを構築し分散投資をしても、時間の経過に伴い相場は変動するため、
保有する資産構成比に偏りが発生した場合には想定以上のリスクを取った状態になってしまったり、
反対に期待したリターン水準に達しないポートフォリオになってしまったりします。
資産運用において価格変動を避けることはできませんので、ズレが生じた資産配分を元の資産配分に戻し、
許容できる範囲内にリスク水準をコントロールするためにリバランスを実行する必要があります。

2つ目の理由は中長期的な投資パフォーマンス向上のためです。
異なる値動きをする資産に分散投資した場合、ある資産は大きく値上がりして利益が出ている一方、
他の資産は大きく値下がりしてしまう状況が起こり得ます。
この状況でリバランスを行うということは、値上がりした資産を売却して利益を確定し、
その資金で値下がりした資産を安く購入するということになります。
どの資産も右肩上がりに上昇し続けることはありませんので、定期的にリバランスを行うことで、
パフォーマンスを改善できる可能性が高くなります。

リバランスを忘れてしまったらどうなるか
リスクを適切にコントロールし、パフォーマンスを向上させるためにリバランスは必要ですが、
リバランスをしなかったとしても致命的な問題になるわけではないと私は考えています。
そもそも、当初決定した資産配分が絶対的に正しいわけではありません。
分かりやすさや管理しやすさを重視して資産配分を決定することもありますし、
前提となる期待リターンやリスクも専門家によって異なる水準を想定していることがあります。

リバランスより大切なこと
個人の資産運用においてリバランスより大切なことは、
ライフステージや資産状況の変化に応じたリアロケーション(資産配分比率の見直し)です。
資産形成に取り組む30~40代、収入も増えて資産構築も進んできた現役バリバリの50代、退職後のセカンドキャリアを見据えた60代では、
それぞれ資産運用において許容できるリスクの大きさも変わってきます。
保有する資産の規模やキャッシュフロー(家計収支)が変化しているのに
投資方針が同じままでは適切な資産運用ができているとはいえません。
それに、金利水準などのマクロ環境も変化している可能性があります。

数年間、リバランスをしなかったとしても人生を通じた資産運用にそれほど影響はありませんが、
5年・10年経過してライフステージや資産状況、マクロ経済環境が変化している場合には
現在の資産配分比率が適切かどうか確認して見直しを進めていくことは極めて重要になります。

資産運用で失敗してしまう3つのポイント

元プロ野球監督、野村克也氏の座右の銘として話題になった「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。
(この言葉は野村氏の創作ではなく、松浦静山の剣術書『剣談』からの引用らしいです)

これを資産運用に当てはめて考えると、成功する方法は一様ではないし、ラッキーで上手くいくこともありますが、失敗するパターンには一定の法則があり、これをやるとだいたい失敗すると思われることは確実に存在します。

私もこれまで10年以上、資産運用に関する相談を受けてきましたが、上手くいっていない人や失敗してしまった人は、「失敗するべくして失敗している」ように感じています

そこで今回は、資産運用で失敗してしまう3つのポイントを整理してみます。

1.良い結果しか想像していない
最悪の場合にどのくらい損失が発生するのか把握しないまま投資している人が多くいます。
確実に成功する投資など存在しませんので、リターンが期待できるということは損失が発生する可能性もあるはずです。

営業担当者の言葉を鵜呑みにしているケースも多くありますが、営業担当者がリスクについて説明していたとしても、良いイメージだけが残っていて正確に想定される損失額を理解できていないで失敗することはよくあります。
まずは、最悪の事態を想定して発生する可能性のある最大損失額を覚悟しておくことが重要です。

2.コスト意識が低い
金融商品を組成し、提供する金融機関も営利企業です。
金融商品を紹介する営業マンもボランティアではありませんので、金融サービスを利用するには必ずコストがかかります。
しかしながら、日本では金融商品や金融サービスの利用に関するコストを意識しないまま投資をしている人が多くいます。
コストを開示していない金融商品やサービスも多くありますが、まずはその金融商品を販売する金融機関や担当者がどういった収入を得ているか意識することが重要です。

3.商品について理解していない
金融商品の仕組みを全て理解することは容易ではありませんが、だからといって理解せずに投資することはやはりお勧めできません。
仕組みが複雑で分かりにくい商品やリスクの所在と大きさが明確でない商品を避けるだけでも失敗は避けられます
金融リテラシーが高い人はシンプルな仕組みの商品を選り好んで利用しています。
仕組みを理解しにくいような複雑な商品はコストの高い粗悪品だと考えても問題ありません。

以上です。
資産運用で失敗するには必ず理由があります。
今回紹介した3つのポイントを抑えるだけでも、失敗するリスクは大きく減らせます。
約1年前のブログにも『金融商品を利用する際に理解しておくべき3つのポイント』について書きました。
関心があれば、こちらも併せてご確認ください。
http://mail.omc9.com/l/01XqS2/cE0ZNxup/

ソーシャルレンディングを利用した投資について

少額、短期で高配当が期待できるとソーシャルレンディングに関心を抱く人が増えているようです。
私も質問を頂戴することが増えていますので、今回はソーシャルレンディングについてまとめてみます。

ソーシャルレンディングとは
運営事業会社が投資家から資金を集めて、銀行融資が受けにくい借り手に貸して金利収入を得る投資です。
投資先は、不動産や太陽光発電所、中小事業所、海外マイクロファイナンスなど多岐にわたります。

メリット
ソーシャルレンディングを利用するメリットは短期投資で高利回りが期待できるところでしょう。
しかも、少額から投資可能です。
1年程度で満期を迎える投資案件も多く、事前に利回りが想定できていることも魅力的です。

主な3つのリスクと注意点
ソーシャルレンディングを利用する際のリスクは主に3つ(流動性リスク、デフォルトリスク、運営者リスク)あります。

◎流動性リスクとは
一度投資してしまうと途中で出金や解約ができません。満期となる償還時期が延長されてしまうこともあります。

◎デフォルト(債務不履行)リスクとは
借り手が約束通り利息支払や元本返済をしてくれないリスクです。
運営者が借り手を審査して延滞時に督促したり、破綻した時には資金回収に取り組みますが、
最終的な損失は投資家が負担することになります。

◎運営者リスクとは
運営事業会社が不適切な融資をしたり資金を流用したりするリスクです。
情報公開が義務付けられていなかったこともあり、実際に多くの不祥事が発生し、金融庁も注意喚起をしています。
運営事業会社が破綻すれば投資家の資金回収は難しくなりますので、運営会社の見極めも重要です。

◎注意点
利回りの妥当性を投資家は判断できるのでしょうか。
通常はリスクの大きい案件ほど高い利率が適用されますが、提示されている利率が本当にそのスクに見合っているのでしょうか。
債券の発行体のように格付を取得しているわけではありませんので、
リスクの大きさが把握しにくく、リスクに見合ったリターンが得られているとは限らない点には注意が必要です。

投資信託を利用した資産運用との違い
リスクコントロールを重視する投資信託による運用と異なり、
デフォルトが発生した場合の損失はどんなに時間をかけても取り戻すことができません。
インデックス・ファンドを使って世界中の株式市場に分散投資している場合には、
大きく評価額が下落することはあっても、時間さえかければ評価額は回復し成長していく可能性が高くなります。

実はリスク分散がしにくい
現在のように世界的に景気がそれほど悪くない状況であれば、同時に多くの案件がデフォルトすることはありませんので、
複数の投資案件に分散して利用することでリスクコントロールが可能です。
しかし、世界的に景気が悪化し金融危機が発生すると多くの案件で同時にデフォルトが発生することが予想されます。

まとめ
ソーシャルレンディングは短期で高い利回りが期待できることは魅力的ですが、リスク分散がしにくく、
デフォルトするときは一気に複数の案件でデフォルトする可能性が高いことには留意する必要があります。
また、運営事業者の見極めも重要です。
そして、一度デフォルトが発生すると時間かけても損失は取り戻せないことを考慮すると、
いくら高い利回りが得られたとしても相応にリスクの高い投資だと覚悟しておいた方が良さそうです。

一方で、寄付や社会貢献、社会還元に近いような性質もありますので、
投資収益を得るだけでなく、意志あるお金の使い方をしていきたいと考えている場合には有効な選択肢になります。