テーマ型投資信託が引き続きよく売れています。
「テーマ型投資信託」とは、旬の投資材料や特定の業種に焦点を絞って投資する投資信託のことです。
最近だと、トランプ大統領が力を入れるインフラ事業により恩恵を受けやすい企業へ投資する投資信託が発売されました。
投資先のイメージがしやすく、その分かりやすさから、銀行や証券会社が積極的に販売しています。しかし、過去をみても1990年代の中国・ヨーロッパ、2000年代のITバブル、そして現在のAI・人工知能・ロボットと、人気のテーマは時代によって移り変わります。流行り廃りがあり、タイミング良く売買を行う必要があり、高値掴みには注意が必要な商品だと思います。
もちろん効率的な資産形成には向きません。
「テーマ型投信」は、世の中の短期的な流れに沿って投資してくため、趣味のように楽しみながら投資対象を考えたい人には向いているかもしれませんが、できるだけ労力をかけずに安定的に資産形成を行いたいという普通の生活者にとっては必要のない商品です。
それにもかかわらず、「テーマ型投資信託」が売れている理由は2つ考えられます。
1つ目は、金融機関側が手数料を稼ぎやすく販売しやすいことです。
私も営業現場で長く仕事をして来ましたが、営業担当者は顧客に提案するきっかけを常に探していますので、テーマ型という世の中の流れに沿ったものは提案しやすい、ということが言えます。
2つ目の理由は、顧客(投資家)側の問題です。
本来は、幅広く分散投資をして、長期的にじっくりと成長を待つ方が、確実に資産を増やせるにもかかわらず、「いつ?何?に投資をするか」を考えることが投資であると勘違いしている人が多くいるためです。
こうした状況に金融庁も警鐘を鳴らしています。テーマ型投資信託について「初心者を含む個人投資家には難易度が高く馴染まない」、「手数料稼ぎを目的とした投信の回転売買に他ならない」、と痛烈に批判しています。
このように「テーマ型投資信託」は、長期の資産形成には向かない商品です。
将来の自分のために着実に資産形成をしていきたいと考えるのであれば、流行に左右されず、シンプルでオーソドックスな商品を中心に利用する方が確実な資産運用に繋がります。