新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、世界中の株式市場が大きく下落しています。
そこで、今回は「〇〇ショック」と呼ばれる株価急落局面への対応法について整理していきます。
まず、現状を正しく把握する必要があります。
メディアの報道には、バイアスがかかりがちで、どうしても過剰に見せたがる傾向があります。
例えば、株価の急落を「NYダウ1400ドル急落、過去最大の下落」と報じます。
あたかも史上最悪かのような印象を与えますが、下落率は5%程度ということもあります。
下落レベルは実数字ではなく、比率(%)で測るべきです。
下落の金額が大きくなるのは、これまで上昇してきたからで、
同じ比率(%)でも水準が高くなれば、数字での変動幅が大きくなるのは当然です。
もちろん5%の下落も大きな下落ではありますが、
年に何度か発生する下落率であり過度に恐れる必要はありません。
一方で、1ヶ月で2割以上下落する局面は年に何回もあるわけではありません。
今後の新型コロナウイルスの広がりや経済への影響について容易に判断できませんが、
短期的には企業業績が悪化し景気が悪くなることは間違いなさそうです。
しかしながら、相場の先行きを予想して運用方針を変える必要はないと考えています。
短期的なリターンを追求して売買を繰り返すような投資スタイルであれば、
色々と対応しなくてはいけない局面だと思いますが、
分散投資を徹底しながらリスク管理をしっかり行い資産価値の上昇から
長期的なリターンを追求していくスタイルであれば、やることは変わりません。
最長で5年くらいは相場が回復せずマイナスが続いても問題ないように投資額を増やし過ぎず
手元資金を確保できていれば、当初の投資方針に沿って運用を継続するだけです。
こういった急落局面で絶対にやってはいけないことがあります。
それは、評価額の下落に怖くなり運用をやめようと売却してしまうことです。
「当面回復は期待できないし、まだまだ下がるだろうから一旦売却しておいて、
安くなったところで買い戻そう」と考える人もいるかもしれませんが、それもお勧めできません。
多くの人は買い戻すタイミングを逃してしまい、市場回復局面でのリターンを得られないだけでなく、
何もせずに保有し続けた場合よりも少ないリターンしか得られません。
そして、積立投資により資産形成に取り組んでいる場合には
積立を停止してしまうことも絶対に避けておきたいことです。
リスクをコントロールしながら長期的に成長が期待できる資産へ投資しているのであれば、
何も変える必要はないということです。
コロナ問題もいずれ収束するのは明らかです。短期的には景気が後退しても、
世界全体でみれば成長は続き、株価はいずれ回復すると考えられます。
逆に、こういった急落局面でやっておいた方がいいこともあります。
株価下落に備えて余力を残して取り組んでいた場合には、追加投資を検討しましょう。
積立によって定期的に運用資産を積み増している場合には
積立金額を増額することを検討しても良いかもしれません。
ただし、2割程度の下落は数年に1回程度は起こることなので、
一気に増やし過ぎないことがポイントです。
数年の運用経験しかない人は一気に追加投資したくなるようですが、
2割程度の下落は絶好の投資チャンスというわけではありません。
さらに、下落率が大きくなり直近の高値から3割、4割と下落が大きくなっても
更に追加投資できる余力を残しておくことが大切です。
4割程度の下落までくれば、思い切って投資額を増やしてもいいかもしれませんが、
そこまでくるとビビッてしまって決断できなくなる人が多いように思います。
市場環境が好調な時は誰でもリターンが得られますが、
現在のような調整局面での対応によってその後の投資成果は大きく変わってきます。
過度に恐れることなく、冷静に淡々と資産運用に取り組むことをお勧めしています。