確定拠出年金の出口戦略(受取のポイント)

今回は確定拠出年金の「出口戦略=受け取り方法」について整理したいと思います。

法律改正により2017年からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象者が拡大し、
加入メリットは以前に比べると知られるようになりました。
一方で、積み立てた資産の受取方法には多くの注意点があります。

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)も企業型確定拠出年金でも基本的に受取に関する考え方は同じため、
今回は確定拠出年金としてまとめて説明します。

確定拠出年金制度は、受取方法の自由度が高いのが特徴です。
受取開始年齢は60~70歳の好きなタイミングを選択できます。
また、受取方法として「年金」と「一時金」を選択できます。
金融機関が対応していれば、年金と一時金の組み合わせも可能です。
年金受取の場合、金融機関にもよりますが、5~20年かけて分割して受け取ることが可能です。
このように様々な受取方法が選択できる確定拠出年金ですが、
どのような形で受け取るのが有利なのでしょうか。
出口戦略を考える際に重要になるのが税金や社会保険料への影響です。

確定拠出年金では積立時の所得控除や運用益の非課税により節税しながら効率的な資産形成が可能ですが、
受取時は基本的には課税されてしまいます。
ただし、「一時金」での受取の場合、退職所得控除が受けられますし、
「年金」受取の場合も公的年金等控除が受けられるため、
実質的には非課税、もしくはきわめて軽い税率となります。

しかしながら、他に退職金などの受け取りがあると、
退職所得控除をフルには受けられない可能性がある点には注意が必要です。
年金受取の場合も公的年金収入や企業年金の受取額と合算し、非課税枠を計算するため、
通常は公的年金だけで非課税枠を超えていることが多く、
確定拠出年金の年金受取分は課税対象となる可能性が高いのが実状です。

また、「年金」受取で雑所得が増えると、所得税や住民税の税率が上がって負担増となるだけでなく、
住民税を元に決定される健康保険料や介護保険料も負担増になってしまいます。

「年金」受取の場合は、金融機関よって振込手数料や口座維持手数料がかかることもあるのでさらに注意が必要です。

したがって、現状では「一時金」受取の方が有利になるケースが多い状況ですが、
今後、税制や金融機関のサービスは変更される可能性もあります。
60歳以降の働き方などライフプランによっても最適な出口戦略(受取方法)が変わってきますので、
税金や金融機関のサービスなどを考慮して総合的な判断が必要になります。