金融庁も指摘!日本の投資信託の問題点

金融庁が10月25日に平成28事務年度の金融レポートを発表しました。
金融レポートは、金融庁が何を目指すのかが明確に示されており、 現状の金融サービスについての問題点も確認できます。
今回はその中の投資信託に関連する指摘のうち4つのポイントをまとめます。

1.販売手数料の高い商品・サービスの販売シェアが増えている

銀行における投資信託の販売手数料の動向を見ると、 2016年度に販売された投資信託全体の平均販売手数料は前年度に比べて上昇している。
販売額上位5商品は販売手数料3%以上の商品の割合が高まっていることから、 手数料の高い商品にシフトしつつあることが窺われると言及しています。
また、前年度の金融レポートでも問題点を指摘されていたラップ型運用サービスの残高・件数も伸びています。
投資信託の販売手数料について、ノーロード(販売手数料なし)の投資信託が増えているという報道も多いので全体として下がっていると考えていると大きな間違いのようです。

2.運用成績の高いアクティブ・ファンドが少ない

金融庁が過去10年以上存続している株式アクティブ運用投資信託281本の信託報酬控除後のリターンについて分析を行った結果、
過去10年間の平均リターンは年率1.36%であり、 全体の約3分の1の商品のリターンがマイナスとなっている状況でした。
また、インデックス運用投資信託と比較しても、71%はインデックス運用投資信託を下回っているというものでした。
コストが高くてもそれを大きく上回るリターンが得られれば、問題ではないかもしれませんが、
リターンが得られていないにもかかわらずコストが高いとすればそれは大きな問題です。

3.インデックス運用商品のシェアが低い

米国では長期の資産形成に適した低コストのインデックス運用投資信託の割合が年々増加しています。
特に規模の大きな投資信託においてインデックスタイプの割合が上昇しており、個人の資産形成を担う中核的な商品の低コスト化も進んでいます。
一方、日本では足下でインデックス運用投資信託の割合が上昇傾向にあるものの、 米国に比べるとその上昇スピードはかなり穏やかです。

4.販売会社と運用会社の間の結びつきが強く、顧客の利益が優先されていない

同一のグループ内に銀行や証券会社といった販売会社を持つ大手運用会社では、販売会社との関係性を重視し、
販売会社の販売しやすい商品を組成し提供してきました。
同一グループ内に銀行や証券会社といった販売会社を持つ大手運用会社5社が2014年に設定した公募株式投資信託を分析し、
コストに見合ったパフォーマンスが上がっているとは言い難いとも指摘しています。

金融庁の方と直接話をする機会がありますので、 本気で改革を進めようと取り組まれていることを私は実感していますが、
金融機関はそれほど簡単に変われないと思います。
やはり、金融機関の変化に期待するよりも、投資家が賢くなっていくしかないですし、 賢くなってようやく金融機関も変わるのだと私は思います。
金融レポートは金融庁のHPで公表されていますので、興味のある方は直接ご覧ください。
http://mail.omc9.com/l/01XqS2/j4ZoTHrM/