4月4日の日経新聞夕刊に『ヘッジファンド、個人に的』という記事が掲載されていました。
米国ヘッジファンド業界が個人投資家向けの商品を増やしているという内容です。そもそも、ヘッジファンドとは、市場全体の相場環境に関わらず一定の運用成績を目指す投資商品です。簡単に言うと、「どんな市場環境でも確実に利益を出す」ことを目指しています。
日本でも金融機関の窓口でヘッジファンドに投資する投資信託を数多く取り扱っていますので、耳にすることも多いと思います。
一般に最低投資額が数億円を超えることが多く、機関投資家や富裕層向けの商品ですが、一般の個人でも投資出来ることはメリットがあるように感じるかもしれません。
しかし、私は一般の個人がヘッジファンドに投資する意義は低いと考えます。
ヘッジファンドの最大の難点は手数料が高いことです。最近は海外の年金基金などは高コストに見合うパフォーマンスが得られないとして、ヘッジファンドへの投資を減らしています。情報開示が不足している点を懸念する声も大きいようです。
私自身も、金融機関で営業の仕事をしていた時はヘッジファンドに投資する商品を数多く販売してきました。それまで非常に素晴らしい実績を残していると感じる商品も多く、多くのお客様に投資を勧めていたこともあります。しかし、実際はその後も期待される実績を残し続けている商品は殆どありませんでした。一時期は良い運用成績を残していても、だいたいそれは長く続きません。
そして、もう1つ大事なポイントは、投資している内容を個人には理解しづらい点です。
シンプルな株式投資信託であれば、運用成績が芳しくない理由は明確です。景気が悪くて株式市場全体が不調なのか、投資している銘柄選択が良くないのか、要因は誰が見ても分かります。
ヘッジファンドは様々な運用戦略を組み合わせて複雑な運用をしていることが多く、パフォーマンスが悪くてもその要因を多くの人は理解できません。
分散投資先の1つとしてヘッジファンドへの投資が有効であるという理論も当然理解出来ますが、ヘッジファンドの良し悪しを判断できないのであれば、投資を検討すべきではないと思います。
それに、そんなに素晴らしいファンドが存在するのであればプロの機関投資家だって投資したいはずですよね。プロが投資をしないのに、小口の個人に販売するのはワケがあると思いませんか?実は、非常に大きなリスクを取っているとか、手数料を高く設定しているとか。。。
いずれにしても、本当に価値のある金融商品はシンプルなはずです。
商品を作り出す金融機関側で仕事をしてきた経験からも、商品内容が複雑で理解しにくい商品には手を出すべきではないと思います。