「投資」という言葉の4つの意味

 

最近も芸能人の投資詐欺事件が報道されましたが、投資に関するトラブルはなくなりません。

その多くはそもそも投資でもなんでもなく単なる詐欺事件であることがほとんどです。こういう事件が起きるたびに、「投資は胡散臭い」とか「投資は危険である」といった誤った情報が流布されてしまうことが非常に残念でなりません。

そこで、今回は「投資」という言葉の意味について整理していきます。

日本で投資に対するイメージが悪いのは「投資(トーシ)」という言葉に誤解があるからだと感じています。「トーシ」という言葉は大きく分けると「投機」、「短期投資」、「長期投資」、「資産運用」の4つの意味で使われていて、多くの場合、投資は投機と誤解されています。

「投機」とは、結果に法則性がなく偶然性に賭けている取引であり結果をコントロールする術がありません。サイコロの目を当てたり、コインの裏表を当てるようなゲームが典型的です。

株式や債券などの証券投資の結果にはある程度の法則性があり、結果をコントロールする方法があります。何よりも経済活動の一端を担う取引であり、実物経済の裏付けがある点が投機とは大きな違いです。

投資にも「短期投資」と「長期投資」があります。

株式の短期投資は対象が「価格」です。株価の変動に賭け、売り買いによってリターンを追求します。一方で長期投資は対象が「企業価値」です。

生み出した利益により企業が成長し価値が増大するのには時間がかかります。したがって、必然的に長期投資になります。

また、「資産運用」と「投資」も大きな違いがあると私は考えていますが、一般的には明確な区別なく使われていることが多いようです。

資産運用は文字通り「資産」全体を「運んで用いる」ということです。保有する資産全体の価値に着目する必要があります。保有する資産の一部で投資に取り組み価格が2倍になったとしても、その資産が個人資産全体の数パーセントだったとすると、人生における資産運用としては全く意味がありません。

資産全体を有効に活用し、できる限り安定的に増やしていこうというのが資産運用であり、私は人生において必要不可欠なものだと考えています。

以上のように、投機、短期投資、長期投資、資産運用はそれぞれ異なる意味を持っています。

実際に英語では明確に言葉が違っています。投機は「スペキュレーション(speculation)」、短期投資は「トレーディング(trading)」、長期投資は「インベストメント(investment)」、資産運用は「アセットマネジメント(asset management)」です。

日本語ではこれらをすべて「トーシ」という言葉でまとめてしまっていて、これが投資に対して得体のしれない怖いものといったイメージを作っているように思います。

私は資産運用アドバイザーとして、個人資産全体のマネジメントをサポートすることが役割だと考えています。

保有資産の中でどのくらいを投資に回すべきか、最適な投資スタイル、投資プランを個人ごとに策定し提案します。投資銘柄やタイミングの推奨が主な仕事ではありません。

個人によってベストな投資プランは変わってきますが、個人の取り組む投資方法には王道と言われる投資スタイルがあります。それは運用資産の大半を占め中核となる「コア」部分で投資信託を使った長期投資に取り組み、興味や関心があれば「サテライト」部分で投機や短期投資に取り組み更なる収益性アップや楽しみを追求する方法です。

こうした方法でリスクをコントロールしながら長期投資に取り組めば、資産を増やしていくことはそれほど難しいことではありません。

まずは多くの人が王道と言われる投資法について知り、取り組む人が増えると、投資に対するイメージも改善していくのではないでしょうか。