アクティブ・ファンドを評価する際の項目として「5つのP」があります。
この「5つのP」は年金基金や金融機関などのプロの機関投資家が運用会社を選定するときにも使われますが、
個人が投資信託を選ぶときに大事なポイントになります。
今回は「5つのP」について、その内容と優先順位について確認していきます。
ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんが様々なメディアや書籍を通じて、
アクティブ・ファンドを選択する際に確認すべきポイントとして「5つのP」について
以下のように説明しています。
1.Philosophy(フィロソフィー) … 運用理念や投資哲学に共感できるか。
2.Process(プロセス) … 投資対象の選定過程が明確に示されているか。
3.Portfolio(ポートフォリオ)…Philosophy(フィロソフィー),Process(プロセス)に沿った中身になっているか。
4.People(ピープル)…運用体制や運用担当者の経歴は開示されているか。
5.Performance(パフォーマンス)…過去の運用実績(リスク・リターン、運用効率など)。
5つのポイントがどれも大切ですし総合的に判断することが重要ですが、
私自身が特に重要だと考えているのは、「Process(プロセス)」と「Portfolio(ポートフォリオ)」です。
日本の投資信託には、プロセスを明確にしていないファンドやポートフォリオが運用方針に合致していないファンドが多くあります。
運用理念など魅力的なことを書いていても、中身が伴っていないということです。
そして、運用担当者の名前や運用体制が明確に開示されているファンドも実はそれほど多くありません。
自分の大切な資産を預けて運用する以上、いかに多くの情報を開示して分かりやすく説明しているか、
その取り組み姿勢が私は最も重要だと考えます。
反対に、5つのPのなかで優先順位が低いのが「Performance(パフォーマンス)」です。
多くの個人投資家やアドバイザーが過去数年の運用成績を最優先に考えるようですが、
短期間でみた過去の運用成績というのはその期間の経済環境に依存する部分が大きく、
それをもって長期的な観点での優位性を測ることはできません。
特に日本には15年や20年といった長期の運用実績をもつファンドがそれほど多くありません。
海外で運用されてきた実績の高いファンドの運用戦略を国内に持ち込んで、
さも優れた実績を残しているかのようにアピールして販売されるファンドをよく見かけますが、
ほぼ確実にその後期待されたような結果は残せていません。
したがって、パフォーマンスを第一の評価基準にするのではなく、
残りの4つのP(プロセス、ポートフォリオ、フィロソフィー、ピープル)に関する
情報開示の量・質・姿勢を重視することが重要です。
一方で、「5つのP」について調べる時間や労力をかけられない場合は
無理にアクティブ・ファンドに投資する必要はありません。
先月のブログ(「資産運用はインデックス・ファンドを中心に考える」)でもお伝えした通り、
インデックス・ファンドのみの運用でも十分なリターンが期待できますし、
資産運用の目的は果たせると考えます。
「5つのP」のチェック方法については、竹川美奈子さんの以下の記事が非常に参考になります。
興味あれば是非ご覧ください。
https://media.monex.co.jp/articles/-/16861