資産運用はインデックス・ファンドを中心に考える

投資信託にも様々なタイプの商品がありますが、大きく分けるとインデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの2種類に分けられます。

インデックス・ファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など特定の指数をベンチマークとしてこれらの指数と同じ値動きになるように運用されるファンドです。

インデックス・ファンドの主な特徴は手軽に分散投資が可能なことと運用コストが安いことです。

一方、アクティブ・ファンドとは、独自の銘柄選択や資産配分によりベンチマークを上回る運用成果を目指して運用されます。

アクティブ・ファンドの主な特徴はベンチマークを上回るリターンを得られる可能性があることと運用コストが高めなことです。

 

どちらのタイプもメリット・デメリットは存在しますが、私は資産運用の中心となる部分はインデックス・ファンドの利用を勧めています。

「初心者はインデックス・ファンドで運用した方がよい」といった記事も目にしますが、初心者だけでなく中級者も上級者もインデックス・ファンドを中心に運用する方が合理的です。

 

なぜならば、優れたアクティブ・ファンドを見極めるためには知識だけでなく時間や労力が必要にもかかわらず、多くのアクティブ・ファンドがインデックス・ファンドのパフォーマンスを上回れていないからです。

 

実際にパフォーマンスについてデータで確認してみましょう。

毎年S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発行している、アクティブ・ファンドとインデックスを比較するレポート(SPIVA®日本スコアカード)によると、過去10年でインデックス(ベンチマーク)をアンダーパフォームしたアクティブ・ファンドの割合は以下のようになっています。

 

日本の大型株ファンド:77.29%

日本の中小型株ファンド:47.62%

全ての日本株ファンド:66.80%

米国株ファンド:78.26%

グローバル株式ファンド:92.70%

国際株式ファンド:94.23%

新興国株式ファンド:94.204%

 

日本の中小型株ファンドを除くカテゴリーで、半分以上のアクティブ・ファンドがインデックスを下回っていることがわかります。

特に、海外を投資対象としたファンドについては、8割から9割のファンドがインデックスを上回れていない結果となっています。

(ただし、このレポートはインデックスとの比較であり、インデックス・ファンドとの比較ではありませんのでその点には注意が必要です)

 

もちろんアクティブ・ファンドの中には、インデックスと比べて圧倒的に高いパフォーマンスをあげているファンドがあることも事実ですが、アクティブ・ファンド全体の平均リターンは当然ながらコスト差によりインデックス・ファンドに劣後してしまいます。

 

したがって、多くの個人投資家にとってはインデックス・ファンドを中心に資産運用に取り組む方が合理的ではないでしょうか。

 

ただし、興味や関心がある投資家は一部の資金でアクティブ・ファンドを利用し資産全体の運用成績の改善を狙うことは有効です。

他にも、リターン以外の部分に着目してアクティブ・ファンドへ投資することをお勧めすることもあります。たとえば、投資知識を増やす機会にすることも可能です。

環境問題など社会課題の解決に繋がる会社に投資するファンドを利用することで自分の意思を投資先の選択に反映することもできます。

 

アクティブ・ファンドとインデックスを比較するレポート(SPIVA®日本スコアカード)についてはこちらで確認できます。興味あれば是非直接ご確認ください。

https://www.spglobal.com/spdji/en/content/article/spiva-japan-jp/