バランス型ファンドの限界

投資信託にも様々な種類がありますが、
昔から一定の人気を集めているタイプに「バランス型ファンド」があります。

バランス型ファンドとは、
1つの投資信託で株式、債券、不動産(REIT)など複数の資産クラスに投資している商品です。
1つの商品で、幅広い投資対象におまかせで分散投資ができるため、
リスクを抑えて安定的に資産運用していきたい人には悪くない商品だといえます。

特に自分でアセットアロケーション(資産配分)を考えたり、
複数の商品を組み合わせて管理していくことが難しいと感じる投資初心者には私もお勧めすることがあります。
資産運用を始めてみたいけど、情報収集する時間がなかったり面倒になって始められていない人には、
バランス型ファンドでさっさと運用をスタートすることには大きな意義があります

しかし、バランス型ファンドでの運用には限界もあるので多くの人はいずれ卒業することをお勧めしています。

その理由は3つあります。

<理由1>自分に適したバランスになっておらず高コストのファンドが多い
バランス型ファンドといっても、その配分比率はファンドごとにかなり異なります。
中には、リスクの高い地域の株式、不動産(REIT)だけでバランスさせた商品もあります。
バランス型といってもリスク分散が期待できず、単に組み合わせただけというものです。

一方で、国内債券比率が高過ぎてほとんどリターンが期待できないものもあります。
バランス型ファンドのバランスが自分にとって最適な比率と一致していないということです。

そして、運用コストが1%を超えるような手数料が高いものも珍しくありません。

<理由2>変化に対応しにくい
資産の運用は10年以上の長期にわたって続けることになりますが、
ライフプランや市場環境の変化に合わせた調整がしにくいのもバランス型ファンドの弱点になります。

運用を継続する間には結婚したり、子供ができたり、
退職したりライフステージが大きく変化していくことになります。収入も変動するでしょう。
本来はライフステージや資産の状況に応じて配分を調整していく必要がありますが、
そういったこともできません。
個人資産全体でバランスさせることが逆に難しくなるということです。

また、現在の低金利環境が10年後も続いているとは限りませんので、
マクロ経済の環境に合わせた調整も必要になるかもしれません。

<理由3>学びに繋がらない
バランス型ファンドはお任せで楽チンかもしれませんが、
資産クラスごとのパフォーマンスの違いは把握できません。
株式と債券の値動きの違い、国内と海外の違い、先進国と新興国の違いなどを
認識して運用資産を管理すると世の中の見え方も違ってくるでしょう。

初心者には取り組みやすいですが、
個人が自分に適した資産配分を考える機会を奪うことになりますし、何よりも学びに繋がりません。
本来は不動産など実物資産や家族の資産も考慮して個人資産全体の最適化を
模索していくことで効率的な資産運用に繋がります。

今回はバランスファンドの限界についてお伝えしましたが、
最終的には、バランス型ファンドにはデメリットもあることを認識したうえで、
まぁまぁ悪くない方法で手間ヒマかけずに資産運用したいならそれでOKだと思います。
繰り返しになりますが、高コストのバランス型ファンドだけは避けることをお勧めします。