ロボアドによる資産運用の限界

「ロボアド(ロボアドバイザー)」とは、
コンピューターのアルゴリズムに基づいて資産運用のアドバイスを行うサービスです。
年齢や収入、資産運用に対する考え方など簡単な質問に回答すると、
利用者に適したポートフォリオ(商品の組み合わせ)を提案し実際に運用もしてくれます。

日本では2014年くらいからスタートしたサービスですが、
ここ数年で急速に利用者数と運用残高が増えてきています。
そこで、今回はロボアドによる資産運用は有効なのか、
課題や限界はないのか
確認していきたいと思います。

金融機関で口座を開設し入金して商品を選んで投資を開始するこれまでのプロセスに比べると、
スマホやPCから手軽にすぐに資産運用を開始できます。
運用資産残高の1%前後の手数料はかかりますが、
資産の配分や定期的な組み換えなどを自動でやってくれます。

同じように一任型で大手金融機関に運用を任せる
「ラップ口座」という資産運用サービスにも似ていますが、
ラップ口座の手数料は年間2~3%のサービスが多いことを考えると、
ロボアドは低コストでそれなりの運用が期待できます
投資対象は海外の上場投資信託(ETF)など手数料の低い商品で
構成されているのも魅力の1つです。

年間1%の運用コストは安くはありませんが、初心者が金融機関で口座を開設し、
自分で資産配分を考え、商品を選択し売買手続きを行い、
定期的にチェックしていく手間を考えると許容範囲であると感じます。
金融機関の営業マンにまともなアドバイスが期待できない現状を考えると、
ロボアドの方が効率的に資産を増やせる可能性が高いでしょう。

ただし、ロボアドを使って資産運用に取り組むには課題もあります。
日本ではまだそれほど多くのサービスが提供されていませんが、
どのロボアドが優秀なのか利用者は的確に判断できるのでしょうか。
ロボアドの優劣を判断できるくらいの知識があれば、
自力で資産運用に取り組むこともできそうです。
初心者には「どのロボアドを使うのが良いのか」のアドバイスが必要になりそうです。

そして、ロボアドでの資産運用には限界もあります。
個人資産の中でどれくらいの金額を投資しても問題ないかはアドバイスしてくれません

将来必要となる資産を準備するために、
毎月の積立金額をいくらにしたらよいのでしょうか。
さらに、いつどのように運用を終わらせるのかのアドバイスも期待できません。

本来はライフプランや家計のキャッシュフロー計画に沿って
運用資産額をコントロールすることが重要です

必要となる資金を確保しながら、
すぐに使わない資金はできるだけ運用にまわすことが効率的な資産管理につながります。
ロボアドに任せた運用資産がいくら効率的にリターンを稼いでくれたとしても、
必要以上に預金に預けたままで運用に回る金額が少なければ、
個人資産全体の運用効率は悪くなってしまいます。

資産運用を始めたいと考えてはいてもなかなか始められていない人は
ロボアドを利用して、すぐに本格的な運用を始めることをお勧めします。
しかし、個人資産全体を効率的に管理し運用していくためのアドバイスまでは
期待できない
と認識しておくべきでしょう。