投資信託売却の考え方

今月に入り日経平均株価は約30年ぶりの高値を更新しました。

米国株式市場も史上最高値圏にあり、投資信託を利用して資産運用に取り組んでいる

投資家の多くは保有資産の評価額が上昇し儲かっている状況にあります。

株価上昇を受けて保有資産の評価額が上昇してくると、

「投資信託を売りたい」といった相談を受けることがあります。

そこで、今回は投資信託の売却に関する考え方を整理しておきます。

 

結論から言うと、

相場状況での売買判断はほとんど必要ないと考えています。

もちろん、運用方針にもよりますし、投資対象にもよります。

個別株やテーマ型の投信で運用している場合は

どこかで売却して利益を確保しておいた方が良いでしょう。

 

一方で、当初より長期的な資産成長を期待して投資しているファンドについては、

個人の運用方針が変わっていないのであれば、相場状況による売買判断は不要です。

売却するとしても微調整くらいに留めておくべきだと考えます。

 

確かに、どんなに評価額が上昇していても売却しない限り利益は確保できません。

一旦、売却して利益を確保しておきたい衝動に駆られることもよく分かります。

 

金融機関の営業担当者であれば、

一旦売却して利益を確保しておくことを提案するでしょう。

しかし、それは次にまた別のモノに投資する際に手数料を獲得できるチャンスがあるからです。

長期で運用できる売却資金を預金に置いておいてもリターンは期待できませんので、

機会損失が発生します。

必ず次の投資タイミングをうかがう必要がでてきますが、

結果的に売却した時期より高くなってから再度投資するようなケースも実際には多いのが現実です。

 

では、売却についてどのように考えておくのが良いのでしょうか。

積立投資により運用資産を積み上げていくのと同様に、

時間分散をしながら計画的に売却していくことを私はお勧めしています。

 

具体的には、家計キャッシュフロー(CF)の推移や退職時期などのライフプランを整理して、

いつから運用資産を取り崩していくのか考えます。

資金が必要な時期から逆算して準備していくということです。

 

今年の3月のように相場が急落したタイミングで追加投資のペースを引き上げたり、

待機していた資金から追加投資することは有効です。

それと同じように、明らかにバブルが膨らんでいて上がり過ぎている状況であれば、

運用資産を一部売却して手元資金を多めに確保しておくことをお勧めすることはありますが、

今はまだその状況にないと考えます。

 

手元資金が少なくなっているのであれば、

一部売却して利益を確保しておくのが良いかもしれませんが、

市場動向は予想できないと考えておくべきです。

 

積立投資により継続的に運用資産を積み上げている場合は、

どんなに高くなっても運用期間(資金が必要になるまでの期間)が

10年程度確保できているのであれば、積立投資を淡々と続けることで問題ありません。

 

相場が急落した3月以降に積立ペースを引き上げてきた場合には、

積立金額を減額するか一旦停止しても良いかもしれませんが、

これも全ては、家計のキャッシュフロー(CF)と手元流動性資金をどの程度

確保しているかによって判断は変わってきます。

 

私がお勧めしているような長期的に成長が期待できる投資信託で運用している場合は

短期的に価格が上昇しても運用方針を変えて売却する必要はありません。

何か行動するとしても、手元資金を少し多めに確保するとか

積立投資金額を減額しておく程度がよいでしょう。