資産運用を始めるときに最初に何を考えるべきでしょうか。
投資対象(何に投資するか)やタイミング(いつ投資するか)を気にされる人が非常に多いですが、この2つよりも重要なのが資産配分です。
金融のプロの間では半ば常識になっていますが、長期的な投資成果は資産配分でほとんど決まってしまいます。もっと簡単にいうと、運用資金を資産の種類(国内外の株式・債券など)ごとにどれぐらいの割合で投資するのかによって将来のリターンがほぼ決まってしまうということです。
公的年金の積立金運用では現在4資産(国内債券・国内株式・海外債券・海外株式)へ25%ずつの均等配分が基本構成割合となっています。
私も講演活動や出版した書籍などで4資産への分散投資成果を示しながら資産運用の考え方を伝えることが多くあります。4資産分散というのは、いかなる経済環境であっても、どのような人にとっても長期の分散投資を理解し実践しやすい無難な方法であり、失敗する可能性が極めて低く初心者でも安心して運用を続けられる方法だからです。
しかしながら、この資産配分がベストということではありません。むしろ、誰にとってもベストとは言えず、4資産均等配分では効率的な資産運用にはならないと考えています。
最適な資産配分は、保有資産や家計収支、リスク許容度などによって変わってきますし、マクロ経済環境を考慮した調整も必要です。
現在は世界的に金利上昇局面にあり、海外の債券クラスへ25%配分することは望ましくありません。国内の債券クラスもリターンが期待できない状況にあり、国内債券クラスに資産を配分するくらいであれば、円預金としていつでも使える資金を保有しておくことが有効です。
株式クラスのみに投資することは、短期的な価格変動が大きくなりますが、それを理解し
資金的にも精神的にもリスクを許容できる人であれば、株式中心に配分して運用することが効率的です。
国内と海外の比率については、世界の株式市場における国内株式市場のシェアは5~6%程度であることを考慮すると海外株式中心に資産を配分するのが妥当だと私は考えています。ただし、海外株式中心の資産運用に取り組むと為替相場の影響が大きくなりすぎてしまうため、運用資産の規模や運用可能期間によっては為替ヘッジ付き商品を組み合わせるなど為替リスクをコントロールすることも必要です。
資産運用において資産配分が重要なことは間違いありませんが、最適な資産配分に絶対的な正解はありません。場合によっては、分かりやすさや管理しやすさ、納得度合いを優先して決めても良いと思います。