株価下落局面における資産運用のポイント

ロシアのウクライナ侵攻により、世界中の株式市場が一時的に急落しました。

ウクライナ情勢自体は主要国の景況感や企業業績に致命的な打撃を与えるリスクは低く、金融市場はコロナショックの時のようなパニック状態にはなっていないようです。ただし、ロシアの軍事侵攻によって資源価格が高騰していることが、米国FRBをはじめ各国の金融政策に影響を与える可能性があり、2022年はやはり一年を通して不安定な相場展開が続くと想定されます。

 

そこで、今回は株価下落局面でのポイントについて改めて整理していきます。

 

まずは取り組んでいる投資スタイルをしっかり認識しておくことが重要です。

短期的にリターンを追求して売買を繰り返すような投資スタイルであれば、有事の際にも株価動向を見ながら色々と対応していく必要がありますが、長期的な視点で分散投資を徹底し資産価値の上昇からリターンを追求していくスタイルであれば、やることは変わりません。

株価回復に時間がかかったとしてもライフプランに悪影響が出ないよう投資額を増やし過ぎず、当初の投資方針に沿って運用を継続するだけです。

 

株価急落局面で絶対にやってはいけないことは、評価額の下落を恐れて売却してしまうことです。

「まだ下がるだろうから一旦売却しておいて、安くなったところで買い戻そう」と考える人もいるかもしれませんが、それもお勧めできません。多くの人は買い戻すタイミングを逃してしまい、市場回復局面でのリターンを得られないだけでなく、何もせずに保有し続けた場合よりも少ないリターンしか得られません。確実にリターンを獲得するためには『市場に居続けること』が大切です。

そして、積立投資により運用資産の積み上げに取り組んでいる場合には積立を停止してしまうことも絶対に避けておきたいことです。下落局面で買い増しを続けていくことが大きなリターンにつながります。

世界全体でみれば経済成長は続き、どのような金融ショックが起きてもいずれ元の水準を回復しています。

 

一方で、こういった下落局面でやっておいた方がいいこともあります。

株価下落に備えて余力を残して取り組んでいた場合には、追加投資を検討しましょう。積立によって定期的に運用資産を積み増している場合には積立金額を増額することを検討しても良いかもしれません。

ただし、1割程度の下落は年に何回か起こることなので、一気に増やし過ぎないことがポイントです。数年の運用経験しかない人は一気に追加投資したくなるようですが、1割程度の下落では絶好の投資チャンスというわけではありません。さらに、下落率が大きくなり直近の高値から2割、3割と下落が大きくなっても更に追加投資できる余力を残しておくことが大切です。3割程度の下落までくれば、思い切って投資額を増やしてもいいかもしれませんが、そこまでくるとビビッてしまって決断できなくなる人が多いように思います。

 

市場環境が好調な時は誰でもリターンが得られますが、2022年のような不安定な市場局面での対応によってその後の投資成果は大きく変わってきます。

過度に恐れることなく、冷静に淡々と資産運用に取り組むことをお勧めします。