資産運用の王道『コア・サテライト戦略』とは

 

日本で投資と言えば投機的な取引をイメージされる方がまだまだ多く、個人でも取り組みやすく王道と言われる資産運用法が知られていません。

そこで今回は資産運用の王道と言われる『コア・サテライト戦略』について説明していきます。

運用資産の大半を占め中核となる「コア」部分は伝統的資産と言われる株式と債券でポートフォリオを構成し、インデックス・ファンドやETFなどのパッシブ運用により安定的な成長を目指します。一方で、運用資産の一部「サテライト」部分では積極的に利益を狙って投資対象を広げていく運用戦略のことをいいます。

機関投資家と呼ばれる多額の資金を運用するプロの多くが採用している方法です。

そもそも、資産運用はリスクを抑え効率性を追求して合理的にやろうとすればするほど、退屈でつまらないものになります。なぜなら、資産運用の基本は、「十分に分散された、低コストのポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)に、時間分散を計りながら、長期投資をする」ことだからです。

特定の資産に偏らないように国内外の株式と債券に幅広く分散させて、低コスト商品を使って、タイミングも分散しながら、じっくり長期にわたって投資するということです。もう少し簡単にいうと、「投資対象を幅広く分散して長期で続けるだけ」です。

値動きが大きくて上昇しそうな個別株式を選別し、タイミングを計って売ったり買ったりするといった、ゲームのようなスリリングな取引は一切必要ありません。経済ニュースから市場動向を予想して、値上がりが期待できそうな通貨や成長しそうな国を探す必要もありません。

こうした一見面白みに欠けるシンプルな資産運用でも、長期で継続すれば相応のリターンは稼げるはずです。そして、これを実践していると、損する可能性も極めて低くなります。実際に様々なデータが国際分散投資による長期運用の有効性、確実性を証明しています。

そして、投資のプロである機関投資家の運用資産の中心となる「コア」部分もこういった王道と言われるシンプルな投資により構成されているのです。

海外では個人投資家もアドバイザーのサポートを受けながら当然のように、この王道スタイルで運用に取り組んでいます。

しかし、日本でこういった世界標準の資産運用に取り組めている人は少数派です。

「コア」となるはずの先進国の株式や債券を中心としたポートフォリオではなく、本来は「サテライト」に位置付けられるような資産ばかり保有しています。

具体的には、流行りのテーマに沿った投資信託や仕組債などデリバティブ(金融派生)商品、豪ドルなど資源国通貨やブラジル・トルコ・南アフリカなどの新興国通貨などです。

こうなってしまっている理由は、金融機関が手数料を稼ぎやすくて、売りやすい商品ばかり提案して販売しているからだと感じています。

趣味で投資を楽しみたいという一部の人を除くと、多くの人にとって人生における資産運用の優先順位はそれほど高くないはずです。誰もが資産運用に取り組むことは必要な時代ですが、興味がなければ、必要以上に時間や労力を費やす必要はなく、コアとなる資産のみを保有することでも十分だと考えます。

「コア」と「サテライト」の最適な比率は各人の資産規模によっても変わってきますが、一般的には「コア」に7~8割、「サテライト」に2~3割という程度の配分がよいでしょう。

まずは「コア」となる資産を作り、興味関心があれば「サテライト」部分で更なる収益性アップや楽しみを求めてみてはいかがでしょうか。