金融資産での運用と不動産投資

年金対策、インフレ対策、生命保険代わり、節税など様々なセールストークを駆使して
不動産投資を勧める自称アドバイザーが増えているように感じます。

私も資産規模や投資方針によっては、
金融資産での運用と組み合わせて不動産投資に取り組むことをお勧めしていますが、
資産運用の基本はやはり金融資産への投資だと考えています。

その理由は主に以下の3つです。

1.流動性・・・・必要に応じて必要な分だけいつでも換金できる。
人生における想定外の事態にも柔軟に対応できます。

2.透明性・・・・情報が開示されている。取引価格が明確であり、法外な値段で取引されることがありません。

3.低コスト・・・・取引コストや維持コストが非常に安い。

(もちろん、金融資産への投資でもこれら3つの条件を満たさないものはたくさんあります)

そして、この3つの特徴は不動産投資には備わっていません。

不動産は売却に時間がかかることが多く、一部分だけ売却するというわけにいきません。
建築構造上の欠陥があるかもしれませんし、
妥当な取引価格を知ることができず法外な値段で売買させられているケースも多くあります。
売買取引や管理を自分でやるには手間がかかりますし、
専門家に任せれば相応のコストを負担することになります。
資産運用の基本となる分散投資がしにくいことも問題です。

このように、金融資産での運用と比較すると不動産投資にはデメリットとなる部分も多くありますが、
金融資産への投資だけでは期待しにくい大きなメリットが存在します

不動産投資ならではの具体的なメリットは主に3つです。

1.レバレッジ(借入の利用)
2.節税効果
3.CF(キャッシュフロー)

1.レバレッジ
借入を利用することで、少ない手元資金で大きな投資ができます。
投資効率を高めることにもつながります。
リスクがあっても大きく資産を増やしたい場合や
できるだけ早く短期間で効率的に資産形成をしたい場合には有効な手段になります。

2.節税効果
不動産事業を赤字にすることで、給与など他の所得と相殺させて税負担を軽減することが可能です。
相続対策としても非常に大きな節税効果が期待できます。

3.CF(キャッシュフロー)
インカム収入として家賃を受け取れるため安定的なCFが発生します。
ただし、金融資産での運用も配当や分配金などCF収入を確保する運用が可能であり、
多くの不動産は時間の経過とともに価値が低減していくことを考慮すると
CFが主な目的の場合には不動産投資の優位性は限定的です。

特に、レバレッジ(借入の利用)と節税効果は上手に活用することで非常に大きな効果が得られます
不動産業界は、あやしい不誠実な業者がかなり多いことも問題ですが、
しっかりとした情報収集と対策を講じることで不動産投資のリスクはある程度コントロール可能です。

実物資産である不動産を組み入れていくことを希望される場合には、
金融資産とのバランスに配慮して資産全体をどのように管理・運用していくか、
どういった目的で不動産を組み入れていくか、
多面的な視点から戦略を立てて取り組むことが重要
になります。