顧客満足の高いアドバイスが顧客本位とは限らない

営業マンは顧客満足と営業成績を同時に追求しています。
顧客満足に繋がったとしても、それが本当は顧客のためにはなっていないアドバイスがたくさんあります。

例えば、毎月分配型の投資信託です。
「毎月高い分配金が受け取れる」と顧客は満足しますが、高い分配金が支払われる投資信託は元本を取り崩して配当しているため、結果として損をする場合が多く、顧客のためになるとは限りません。

貯蓄性のある保険も同様です。
保険料が「掛け捨て」になると聞くと損をしているように感じる人が多くいるため、「掛け捨てでなく、お金も貯まる商品を提案します」と言われるとなんとなく満足感が得られます。
しかし、貯蓄性のある保険と掛け捨ての保険に損得はありません。貯蓄性のある保険はその分余計に保険料を支払い、手数料もその中で多く支払うことになるのです。

もちろん金融機関もビジネスですから、お客様の満足度を高めることができ、収益を稼ぐことができるのであれば、それは良い仕事と言えます。

この商品が欲しいというお客様に、顧客のためを思って「お客様にはその商品は必要ありません」とは営業マンの立場だとアドバイスできないのです。

それに対して、コンサルティング報酬を受け取って行うアドバイスは顧客本位を徹底できます。商品を販売する必要がありませんので、顧客が誤解していることがあればきちんと正しい情報を伝えていくことができます。

金融庁が推し進めるフィデューシャリー・デューティー(顧客利益最優先の原則)の徹底を図るための改革も金融機関に顧客本位の業務運営を求めています。

全てのビジネスで顧客本位を追求すると経済活動が収縮してしまうので、それが良いとは限りませんが、少なくとも金融分野については顧客本位を徹底することが事業の継続的発展につながっていくのではないでしょうか。

顧客満足の高いアドバイスが必ずしも顧客本位になるとは限りませんが、顧客本位を徹底することがいずれ顧客満足につながると私は考えています。