2021年の株式市場は日経平均株価が一時バブル期以来の3万円台まで上昇し、米国の株式市場は何度も史上最高値を更新しました。
2022年はまだ1ヶ月足らずですが新型コロナのオミクロン株の世界的流行やインフレ懸念、米国の利上げ見通しなどから変動の大きな展開が続いていて、今年は一年を通して不安定な相場展開が続くと想定されています。
「金融緩和→株価上昇→金融引き締め→株価下落」というサイクルは過去に何度も繰り返されてきた循環であり、政策金利の引き上げにより株価下落局面が何度か到来することを覚悟しておく必要がありそうです。
しかしながら、いつもお伝えしているように、相場の先行きを予想して運用方針を大きく変える必要はありません。
短期的には株式市場がもう少し下落していく可能性が高いとしても、当初の資産運用方針に沿って淡々と投資を続けていくことが重要です。
投資のリターンは企業の持続的な事業活動(利益追求)から生まれます。世界経済が中長期的には成長していく前提に立つと資産運用の大部分を占めるコア資産の運用方法を変える必要はありません。
一旦売却して利益を確保しておきたいとの衝動もよく理解できますが、相場下落時に首尾よく買い戻すことは至難の業です。また、現状の市場環境でキャッシュポジション(個人資産全体に占める現預金の比率)を大きくし過ぎることはお勧めできません。
資源価格や不動産価格の高騰からも分かるように、現金や通貨の価値が下落し続けるリスクも高まっているからです。
毎年繰り返しお伝えしていますが、新年を迎えたこのタイミングでやっておくべきことは、個人資産全体の資金計画やリスク許容度の確認でしょう。
具体的には、以下の3つがポイントになります。
1.ライフプランやキャッシュフロー計画に沿って、今後数年間に必要となる資金が確保できているか。
2.現在の投資総額から想定される最大損失額はいくらか、精神的に許容できる範囲内か。
3.株式市場が下落した時には追加投資できる余力が残っているか。
特に今年は株式市場が下落した際に追加投資できる余力をどのくらい確保できているかを確認し、積立投資などによって時間分散をしながら追加投資が実行できると、リターンの改善が期待できます。
金融市場が不安定な局面ほど、短期的な予測に振り回されず、ライフプランやキャッシュフロー計画を定期的に見直しながら資産運用に取り組むことが重要です。