2016年からNISA口座で運用をしている人は取引金融機関から
ロールオーバー手続きの案内が届いていると思います。
そこで、今回はロールオーバーの判断ポイントを整理します。
NISAで購入した投資信託や株式は売却益と配当に対する利益が5年間非課税となります。
5年の非課税期間が終了した後も翌年のNISA非課税枠へ移すことで、
再度5年間非課税で運用を継続することが可能です。
このような翌年のNISA非課税枠へ移す手続きを「ロールオーバー」と呼びます。
ロールオーバーしない場合は自動的に課税口座(特定口座)へ移されて継続保有することになります。
非課税期間が経過しても勝手に売却されたり運用が終了することはありません。
非課税期間終了時に運用資産の評価額が120万円を超えていても全額ロールオーバーできるため、
新規で投資するよりも大きな金額を非課税で運用可能なのは大きなメリットです。
一方で、ロールオーバーには注意点もあります。
翌年の非課税投資枠を使うので、新規投資できる金額が少なくなります。
積立により継続的に追加投資している場合はNISAの非課税枠での積立がその分できません。
他にも、損益がマイナスの場合にロールオーバーせず課税口座に移してしまうと税負担が増加し、
実際は利益を得ていないのに課税されてしまうリスクが発生します。
では、ロールオーバーするべきかどうかどのように判断したらよいのでしょうか。
個々人の状況によって判断は分かれますが、私は3つのポイントを判断材料にしています。
1.翌年に新たに投資する資金の大きさ
2.保有する銘柄(商品)
3.現状の評価額・損益状況
まずは、翌年に新たに投資する資金があるかどうかです。
2021年に追加投資(積立投資)をする予定がないのであれば、
ロールオーバーしておくべきでしょう。
2016年に投資した資産の評価額と2021年の投資予定額の合計が120万円未満の場合も同様です。
続いて、保有している銘柄(商品)の継続保有意向です。
今からでも非課税枠でさらに追加して投資したいと思える銘柄であれば、ロールオーバーします。
非課税運用に適した銘柄が他にある場合や
同タイプのインデックス・ファンドでさらに低コストの商品がある場合には
非課税期間終了後に切り替えるためロールオーバーせず一旦課税口座へ移します。
最後に、評価額と損益状況による影響を考慮します。
さらに低コストのインデックス・ファンドに切り替えたいと考える場合も
評価額が120万円を大きく超える場合はロールオーバーして非課税運用を継続することで
少しでも多くの資金を非課税で運用することが可能になります。
判断が難しいのは、NISAで保有する資産の評価額が120万円前後の状況でありながら、
新規の投資も予定しているケースです。
ロールオーバーによる継続保有分と2021年の積立投資のどちらに非課税枠を充当するのが合理的なのかは
相場次第なので絶対的な正解はありません。
年初に一括投資するのと積立による投資でどちらが高いリターンを得られるかは
相場展開次第であり、事前には誰にも分からないからです。
そもそも、一般NISAではなく「つみたてNISA」に切り替えた方がよいケースもあります。
「つみたてNISA」であれば、ロールオーバーするべきかどうかの判断も必要ありません。
非課税運用期間も長く、仕組みがシンプルで使いやすい制度になっています。