NISAロールオーバーの判断ポイント

2017年からNISA口座を利用している人には取引金融機関からロールオーバー手続きの案内が届いていると思います。

一般NISA(非課税投資限度額:120万円)だけでなくジュニアNISA(非課税投資限度額:80万円)を利用している人も所定の期限までにロールオーバーするかどうか判断する必要があるため、今回はその判断ポイントを整理していきます。

 

NISAで購入した投資信託や株式は売却益と配当に対する利益が5年間非課税となります。5年の非課税期間が終了した後も翌年のNISA非課税枠へ移すことで、さらに5年間非課税で運用を継続することが可能になります。

このような翌年のNISA非課税枠へ移す手続きを「ロールオーバー」と呼びます。

ロールオーバーしない場合は自動的に課税口座(特定口座)へ移されて運用を継続することになります。非課税運用の期限が到来しても勝手に売却されたり運用が終了することはありません。

 

ロールオーバーが可能な金額に上限はなく、非課税期間終了時に運用資産の評価額が120万円を超えていても全額ロールオーバーできます。これは非課税投資枠を増やすことができるため大きなメリットになります。

 

一方で、ロールオーバーに関する注意点もあります。

翌年の非課税投資枠を利用するので、新規投資できる金額が少なくなります。120万円以上になっている場合にはNISAでの新規投資はできません。

他にも、損益がマイナスの状況でロールオーバーせず課税口座に移してしまうと税負担が増加し、実際は利益を得ていないのに課税されてしまう可能性が発生します。

また、ロールオーバー手続きには期限があります。金融機関によっては12月上旬に期限を設定しているところもありますので注意が必要です。

 

では、ロールオーバーするべきかどうかどのように判断したらよいのでしょうか。

私は2つのポイントを基準に判断しています。

 

まずは、保有している銘柄(商品)の継続保有意向です。

今からでも非課税枠でさらに追加して投資したいと思える銘柄であれば、ロールオーバーします。非課税運用に適した銘柄が他にある場合や同タイプのインデックス・ファンドでさらに低コストの商品がある場合には非課税期間終了後に投資先を切り替えるためロールオーバーせず一旦課税口座へ移します。

 

続いて、現時点の評価額を考慮します。

コストが低いインデックス・ファンドに切り替えたいと考える場合でも、評価額が120万円を大きく超える場合はロールオーバーして同じファンドで運用を継続する方がメリットは大きくなります。

 

商品の見直し余地が多少はあったとしても、現在の評価額が120万円超となっているのであればロールオーバーすることをお勧めします。

数ヵ月前に金融所得課税へ注目が集まりましたが、税金負担は確実にマイナスのリターンとなるため、少しでも多くの資金を非課税で運用することを優先すべきではないでしょうか。

 

そもそも、「一般NISA(非課税投資上限:年間120万円)」ではなく、2018年から開始された「つみたてNISA(非課税投資上限:年間40万円)」に切り替えた方が良いケースもあります。

「一般NISA」だと毎年ロールオーバーするかどうか判断する必要がありますが、「つみたてNISA」であれば、この判断も必要ありません。非課税運用期間は20年と長く、仕組みがシンプルで使いやすい制度になっています。