歴史的な円安局面での運用見直しのポイント

ドル円相場は32年ぶりに一時151円台まで上昇するなど歴史的な円安が進んでいます。世界的にインフレも進む中で米国長期金利も大幅に上昇し、株式市場も変動が大きな展開が続いています。

市場環境が大きく変化してくると運用方針を見直した方がいいのではと相談を受けるケースが増えています。

そこで、今回は市場環境の変化に対する運用見直しの考え方を整理していきます。

急速な円安進行を受けて金融機関の営業マンは外貨預金や外貨建て保険を熱心に売り込んでいるようですが、市場環境の変化によって利用する金融商品や投資方針を変える必要はありません。今後も円安が進みそうだから外貨投資をしようという短期的な視点での取引はギャンブルと一緒です。たとえ、市場環境が大きく変わったとしても、資産全体のバランスを考慮して長期視点で調整をしていくしかありません

円預金に資産が偏っているのであれば、時間分散しながら国際分散投資をさらに進めていく必要があります。どのような市場環境であっても、個人が取り組む資産運用の原理原則は変わらないからです。

資産運用の見直しを行うタイミングは、市場環境の変化に応じて行うよりも、保有資産額やライフプランの変化に応じて、修正していくのが理想です。

ただ、多くの人は定期的な修正ができずに、市場環境が変化したときに見直しの必要性に気付くようです。

現在のように円安が大きく進行し、インフレリスクが高まっている環境で、チェックしておくべきポイントは、個人資産全体におけるリスク資産の割合と海外資産の割合です。

5年以上使う見込みのない円資金が多く残っていて、保有するリスク資産の比率が低いのであれば、追加投資のペースを引き上げることも選択肢になります。

為替相場の影響を受ける海外資産の比率が高くなっているのであれば、比率を引き下げた方が良いケースもあるでしょう。外貨建て保険などいつか解約しようと考えていたものは解約するチャンスかもしれません。

追加投資を進める場合であっても、現在の150円近い為替相場では為替ヘッジ付き商品を選択するなど為替リスクをコントロールしておく意義は高まっています。

市場環境が大きく変化してくると不安を感じたり、運用見直しの必要性に気付く人も多くなりますが、慌てて何かを大きく変える必要はありません。どのような環境であっても、個人の家計キャッシュフローやライフプラン、運用予定期間を考慮して長期的な視点で資産運用に取り組むことが重要です。さらに、定期的な調整をしながら取り組むことができると理想的な資産運用が実現できます。