『コア・サテライト戦略』による資産運用

今回は資産運用における『コア・サテライト戦略』についてまとめていきたいと思います。

運用資産の大半を占め中核となる「コア」部分は伝統的資産と言われる株式と債券でポートフォリオを構成し、資産の安定的な成長を目指します。

一方で、運用資産の一部「サテライト」部分では積極的に利益を狙って投資対象を広げていく運用戦略のことをいいます。

海外の多くの投資家が取り組んでいる方法であり、機関投資家と呼ばれる多額の資金を運用する法人の多くが採用している戦略です。

そもそも、資産運用は、効率性を追求してまともにやればやるほど、退屈でつまらないものになります。
なぜなら、資産運用の王道は、
1.十分に分散された
2.低コストのポートフォリオに
3.時間分散を計りながら
4.長期投資をする
ことだからです。

特定の資産に偏らないように国内外の株式と債券に幅広く分散させて、低コスト商品を使って、タイミングも分散しながら、じっくり長期にわたって投資するということです。
もう少し簡単にいうと、「資産運用の王道は、幅広く分散して長期で続けるだけ」です。

値動きが大きくて上昇しそうな株式を選別し、タイミングを計って売ったり買ったりするといった、ゲームのようなスリリングな取引は一切必要ありません。
経済ニュースから市場動向を予想して、値上がりが期待できそうな通貨や成長しそうな国を探す必要もありません。

こうした一見面白みに欠けるシンプルな資産運用でも、長期で継続すれば相応のリターンは稼げるはずです。
そして、これを実践していると、損する可能性も極めて低くなります。
実際に、様々なデータが国際分散投資による長期運用の有効性、確実性を証明しています。

そして、機関投資家の運用資産の中心となる「コア」部分もこういった王道と言われるシンプルな投資により構成されているのです。
海外では個人投資家もアドバイザーのサポートを受けながら当然のように、この王道スタイルで運用に取り組んでいます。

しかし、日本でこういった世界標準の資産運用に取り組めている人は少数派です。
「コア」となるはずの先進国の株式や債券を中心としたポートフォリオではなく、本来は「サテライト」に位置付けられるような資産ばかり保有しています。
具体的には、ブラジル・トルコ・南アフリカなどの新興国通貨や豪ドルなど資源国通貨、仕組債などデリバティブ(金融派生)商品、流行りのテーマに沿った投資信託などです。
こうなってしまっている理由は、金融機関が手数料を稼ぎやすくて、売りやすい商品ばかり売っているからです。

趣味で投資を楽しみたいという一部の人を除くと、多くの人にとって人生における資産運用の優先順位はそれほど高くないはずです。
誰もが資産運用に取り組むことは必要な時代ですが、興味がなければ、
必要以上に時間や労力を費やす必要はなく、コアとなる資産のみを保有することでも十分だと考えます。
まずは「コア」となる資産を作り、興味関心があれば「サテライト」部分で
更なる収益性アップや楽しみを求めてみてはいかがでしょうか。