ヘッジファンド投資の考え方

ヘッジファンドとは、様々な取引手法を駆使して相場が上がっても下がっても利益を確保することを目指す投資対象です。
誰でも投資可能な“公募”の投資信託を通じてヘッジファンドに投資することもできますし、
一部の機関投資家や富裕層など限られた人から資金を集めて運用する“私募”のヘッジファンドも存在しています。

リーマンショックのような相場の下落局面でもプラスのリターンを実現するヘッジファンドも存在しました。
私も外資系金融機関に所属していた頃はそのようなヘッジファンドへ投資する投資信託を数多く販売した経験もあります。
しかし、そのような相場下落局面でも着実にリターンを稼いでいたファンドが
その後も高いパフォーマンスを維持できたかというと、そんなことはありませんでした。
市場環境が改善してくると株式インデックス・ファンドに大きく負けてしまうものばかりです。
つまり、どんな局面でも利益を出し続けることは簡単なことではありません。

もし仮にそのよな優秀なヘッジファンドが存在するとしても、それを事前に見抜くことは難しく、
さらに、適切なタイミングでそれを売買することは不可能に近いことです。

結果的に優秀な成績を残しているヘッジファンドは注目を集めますが、
一方で大きく下落してひどい成績のヘッジファンドも多数存在しています。
金融機関の営業マンは運用成績の良さをアピールしながら投資提案をしてきますが、
過去の運用実績は必ずしも将来のリターンを保証するものではありません。
これはアクティブ・ファンドに対しても同様です。
もちろん相場変動を乗り越えて市場平均を大きく上回ってきたアクティブ・ファンドもありますが、
10年間成績の良かったファンドが次の10年も成績が良いかというと、ほぼ無相関というのが多くの実証分析の結果です。

アクティブ・ファンドと異なるのは、
ヘッジファンドは運用手法を公開しないことも多く、
どんな運用をしているのかブラックボックスで見えなくなっています。
運用成績を信じて投資をしたら、それが虚偽であったという事例もあります。
高いリターンをアピールして投資を勧誘する投資詐欺とほとんど変わりません。

また、インデックス・ファンドなどに比べると、購入時手数料や値上がり益に対して支払う成功報酬の率も高く、
高コストというデメリットもあります。

株式や債券などの伝統的な資産クラスとは異なる値動きをするヘッジファンドに投資することで
分散効果が期待できることもあります。
しかしながら、投資内容が複雑で理解できないものや
ブラックボックスで公開されていない金融商品への投資は避けておくべきだと考えます。
相場下落局面で儲けることよりも後悔するような事態を避けることが重要だと考えるからです。