海外で運用する注意点

海外金融機関の金融サービスや投資商品に魅力を感じる人も多いように思います。
何か特別な方法で国内商品より高いリターンが得られるかのような印象があるからでしょうか。

私のところにも海外の業者から業務提携の申し出があり、お客様の紹介を依頼されることがあります。
国内にも海外のヘッジファンドや保険商品を紹介して、多額の紹介料を受け取っているアドバイザーがいますので、
勧誘を受けたことがある人もいるかもしれません。

しかし、たいしたリターンも得られず、資金を引き揚げるために大変な苦労をしている事例も多く聞いています。

そこで、今回は海外で運用する注意点について整理したいと思います。

「海外で運用する」とは、海外の現地金融機関に口座を開設したり、現地の金融商品を利用するケースです。
国内の金融機関を通して海外資産に投資することは、資産運用において不可欠ですし何も問題はありません。

高いリターンが得られる特別なノウハウがあるわけではない

「実績として毎年10%以上のリターンをあげている」というような商品を紹介されることもありますが、
たまたま運用環境がよく10%になることはあっても、
将来にわたって同じパフォーマンスが期待できるわけではありません。
海外の運用会社だから、なにか特別のノウハウや商品があるのだろうというのは誤解です。
高いリターンが期待できるのは、リスクがそれだけ高いのです。
リスクを小さく見せかけているだけかもしれません。
どの国にいても、資産運用における投資手法や投資対象は、変わるものではありません。
当然ながら日本国内でも世界標準の資産運用ができるのです。
(しかし、残念なことに日本の大手金融機関のアドバイザーはそういった方法を教えてくれません)

節税にもなりません

ケイマン諸島やシンガポールなどで運用すれば、税金がかからないというようなイメージもありますが、それも誤解です。
現地で税金がかからなくても、日本人であれば、日本の税制が適用され、本来は国内で申告する必要があります。
これまではバレていないケースもあるようですが、
海外の税務当局との情報交換する仕組みが出来ていますし、今後はそうはいかないでしょう。

コストも高い

日本人向けのサービスや商品だからかもしれませんが、コストもそれなりに負担させられます。
積極的に売り込んでくる商品やサービスは売り手側が儲かるものであると考えておいた方がいいでしょう。

管理が大変

最初は日本語でサポートが受けられたとしても、いつまでも対応してくれるかわかりません。
トラブルが発生すると、英語で直接やりとりする覚悟が必要です。
現地との連絡が取りにくかったり、現地に行かないと手続きができないケースもあります。
そうすると、さらに余計なコストと手間がかかります。
もし本人が亡くなったりすると、残された家族が困ります。
日本に資産を戻す手続きを専門家に依頼することもできますが、かなりの費用を負担することになります。

海外の金融機関で取引していることでステータスを感じる人もいるかもしれませんが、
必ずしも素晴らしい運用成果が得られるわけではありません。
国内の金融機関を通じてシンプルに国際分散投資を実践することが、
様々なリスクを避けながら資産運用で成功する方法だと考えます。