資産運用においてコントロールできる事とできない事

 

金融市場は引き続き活況で新たに投資に関心を持つ人も増えているようです。

投資初心者は「このファンドが最近の売れ筋らしい!」、「急成長中のこの会社の株を買いたい!」、「これまで〇%の利益をあげた実績がある」と華やかなリターンにばかり目が行きがちです。

「いつ、何に投資したら良いのか」だけを考えている投資家も多くいます。

しかし、短期的な相場の先行きは専門家でも予想できないことが多く、短い期間でどれだけのリターンが得られるかはほとんど「運」次第です。

将来のリターンは不確実なのが現実です。

思惑どおりに相場が動いて儲かる時もあれば、予想外の動きで大きな損失を被ることもあるでしょう。

まさにリターンはコントロール不可能なのです。

一方で、リスクはコントロールが可能です。

投資対象を分散することやリスク特性の異なる資産を組み合わせることで全体の価格変動を抑えられます。

投資するタイミングを分散することで大きな失敗も避けられます。

さらに重要なのは、コストのコントロールです。

コストは事前に確定していて、しかも投資家が自分自身の行動によってコストの安い取引方法や商品を選択することができます。

コストを削減できれば確実に得られるリターンは増えます。

他にコントロールできるのは税金です。

NISAや確定拠出年金など節税につながる制度も増えています。合理的に活用することで、追加のリスクを負担することなく確実に手元に残るお金を増やすことができます。

せっかく非課税で運用できる制度があるにもかかわらず活用せず、課税口座で運用している人も多くいます。

非課税枠は個人単位のため、家族名義の非課税枠も有効に活用することもお勧めしています。

資産運用において、コントロール可能な要素「リスク」「コスト」「税金」に意識を集中することが重要です。

「リスク」「コスト」「税金」をきちんとコントロールできれば結果としてリターンが確実に得られると考えています。

多くの人は「リターン」をコントロールしようとして失敗しています。

根拠の薄弱な感覚的な相場予想に基づいて早すぎる利益確定をしてしまったり、積立投資を止めてしまったり、上昇局面で乗り遅れまいと慌てて追加投資をして高値掴みをしているケースも多くあります。

リターンはコントロールできないと割り切って、コントロールできることに集中することで合理的効率的な資産運用が可能になります。